【雑記】萩原雪歩『ALRIGHT*』の「イェーイ!」が持つ意味について+おまけ

「ミリオンライブ!シアターデイズ」において萩原雪歩のメインコミュおよび『ALRIGHT*』が実装されました。



それと同時に登場した新規SSR雪歩のイラストも楽曲と連動したものとなっています。



イラストからも分かるように『ALRIGHT*』のMVでは冒頭に「イェーイ!」と叫ぶ演出が追加されています。


限定SSR雪歩は当たらなかった

正直この選曲と演出には若干の違和感を覚えているのですが、そこは一旦置いておいて、まずは『ALRIGHT*』の『イェーイ!」がどのような意味を持つのかについて書いていきます。


『ALRIGHT*』の『イェーイ!」は、アニメ『アイドルマスター(2011)』の第3話「すべては一歩の勇気から」において登場し、声優の浅倉杏美さんが歌うリアルライブのパフォーマンスでもその部分を再現するのが定番となっています。



ここで重要なのは、このアクションが「浅倉杏美さんが演じる」萩原雪歩による『ALRIGHT*』に紐づいているということです。


『ALRIGHT*』自体はそもそも、現在雪歩の声優を務める浅倉杏美さんの前、初代に当たる長谷優里奈さんが雪歩の声優を勤めていた頃に作られた専用ソロ楽曲です。そして、2010年に声優交代が発表されて以降、初めて「初代」の頃のソロ曲をカバー(必ずしもこの表現が正確とは言えませんが、便宜上こう表現しておきます)したのがこの『ALRIGHT*』でした。

キャラクターの比重が非常に大きいコンテンツにおいて、声優の交代はかなり大きな問題です。どうしたって「初代」との比較は免れませんし、どれだけ「初代」に寄せたところで、結局はただの「モノマネ」にしかなりません。

その点、「2代目」の浅倉さんは声や演技を可能な限り「初代」に寄せてイメージを守りつつ、一方でいわばデビュー作となる『アイドルマスター2』において浅倉さん自身の作詞による新曲『First Step』を制作するなど「新しい物語」を紡ぐことにも注力しました。また、このタイトルは各アイドルの年齢をひとつ上げての仕切り直しであったことも大きいでしょう。

ただ、新規のゲームや曲であればこのように「新しい物語」を紡いでいくことも出来ますが、過去の楽曲、何よりソロ楽曲ではそうはいきません。そこにはそれまで「長谷さんの雪歩」が積み上げてきた「時間」があり、一朝一夕でそのハードルを超えることは困難だからです。


そこで登場するのが2011年から放送されたTVアニメ『アイドルマスター』です。


先述の通りその第3話「すべては一歩の勇気から」劇中において、非常に印象的な形で『ALRIGHT*』が使用され、劇盤では浅倉さんによる『ALRIGHT*』が収録されました。

浅倉さんが雪歩を引き継いでからまだ1年ほどという中、ここでは「長谷さんの雪歩」が積み上げてきた「時間」をそのまま引き継ぐのではなく、新たな「物語」の文脈に組み込むことで「浅倉さんの雪歩」による『ALRIGHT*』を確立することに成功しました。つまり「初代」の「時間」というハードルを「物語」の力を借りて飛んだのです。

そしてその「物語」の象徴として、また「浅倉さんの雪歩」による『ALRIGHT*』であるという印として用いられてきたのがアニメ劇中の「イェーイ!」なのです。



「イェーイ!」はMRに至るまで、9th大阪(これについては後述)と、メドレーかつ後輩と一緒だった765MS台湾公演を除いて、浅倉さんによる全てのライブ歌唱で用いられるほど、「浅倉さんの雪歩」による『ALRIGHT*』とは切っても切り離せないものとなっています。(私自身全てのステージを見れてるわけではないのと、もう記憶が定かではないのとで、可能な限り映像やレポで確認しましたが、間違いの可能性もあります。そのうえ先に挙げた2公演は映像も出ていないですし)


ともかく『ALRIGHT*』に関してはこのように乗り切ることができましたが、「長谷さんの雪歩」時代のソロ曲として最も重要な、原点とも言える最初のソロ『Kosoms,Cosmos』がまだ残っています。浅倉さんの『Kosoms,Cosmos』は、それまでもゲームverやリアレンジでの歌唱はありましたが、オリジナルのフルverでの歌唱は長いこと披露されませんでした。


それが突然披露されたのが、2014年の9thライブ大阪2日目のことです。


2005年のアーケード版『THE IDOLM@STER』から数えて、交代が発表された2010年を起点に考えると2014年の9thライブ時には「長谷さんが雪歩を演じていた時間」と「浅倉さんが雪歩を演じていた時間」の差がほぼ無くなっており(アニメ以降の規模の広がりを考えると、この時点で実質的な稼働時間は浅倉さんの方が長そうです)、「時間」というハードルはもう無くなったも同然です。

そしてただ時間を経ただけではなく、雪歩として、特にアニメ以降の成長は著しいものがありました(浅倉さんに交代して最初のCD「MASTER ARTIST 2」とアニメ直後のCD「生っすかSPECIAL」を聴き比べると、圧倒的に「馴染んでいる」様子が分かると思います)。

つまり、この時点で浅倉さんが『Kosoms,Cosmos』を歌うに当たって機は熟したと言える状態であり、当然「物語」の力を借りる必要もありませんでした。


実際9th大阪2日目にて披露された『Kosoms,Cosmos』は、「長谷さんの雪歩」のそれと全く遜色ないどころか、その先の成長さえも感じさせるものであり、その1年後に発売された「MASTER ARTIST 3」に収録された音源も素晴らしい仕上がりでした。

そして同日に披露された『ALRIGHT*』には「イェーイ!」がありませんでしたが、これは勿論どの曲においても「物語」の力を借りる必要はもう無くなったからです(とはいえその後もサービス的に「イェーイ!」は披露されるのですが)。


というわけで、この9th大阪をもって「萩原雪歩」というキャラクターは「初代」や「2代目」というのを超えて次のステージに進んだと言えるでしょう。......しかし一つ問題があって、9th大阪はBDボックスにダイジェストという形でしか収録されておらず、肝心の『ALRIGHT*』も『Kosoms,Cosmos』も全く見返すことができません(ソロパートはフル収録の東京公演で歌唱されなかった『ハミングロード』のみ収録)。なので、実際は大阪でも「イェーイ!」を披露していたりとかもあるかもしれませんが、確かめる術がないので非常に困ります。

一応フル収録の9th東京公演を観れば、ここまで書いてきた「浅倉さんの雪歩」の歩みを総括するような初日の『ALRIGHT*』(「イェーイ!」有。この日は歴史を振り返るセトリなので必要)『Kosoms,Cosmos』『あの日のナミダ』と、浅倉さん自身の変遷を辿る2日目の『何度も言えるよ』『Kosoms,Cosmos』『First Step』(流れが流れなのでヤバい)を観れば、ある程度の流れは把握できるのですが、歴史的な資料として9th大阪(同じくダイジェストだった名古屋も)は今からでもどこかしらでフル尺で映像化してくれないかなあ。無理かなあ。


......まあざっくりですが、これで『ALRIGHT*』を巡るあれこれについてざっくりと(流れ上Kosoms,Cosmosについての話も長いですが)は俯瞰できるんじゃないかと思います。


というわけで、ここから遠い昔に一旦置いておいたミリシタの『ALRIGHT*』に感じた違和感の話です。

ミリシタのASは「先輩」という立ち位置で、ここまでのメインコミュにおいてもその点を強く意識したストーリーが続いています。つまり、キャラクターとしてはある程度成長している状態のはずで、それは雪歩も同様です。

しかし、今回のメインコミュの内容はさておき、そこで披露されるのが『ALRIGHT*』かつ「イェーイ!」が付いているというのは、先に述べた理由から、成長というより、また振り出しに戻ってしまったように感じられます。

「イェーイ!」をする理由についても「会場と一体になるため」みたいな、ぼんやりした理由づけはされていましたが、取ってつけた感は否めません。

成長した雪歩を描くのであれば、「イェーイ!」をつけるべきではないと思いますし、楽曲としても『ハミングロード』の方が成長を描くのには適当だったと思います(「自信がない」キャラクターにとっての成長は、自信満々になるというよりも、ありのままの自分をそのまま出せるようになる方が妥当なので)。


なので、今回の『ALRIGHT*』周りの演出に関しては違和感を拭えません。拭えませんがぶっちゃけそんなことはどうでも良いのです。こんなに字数を重ねておいて難ですが、数多あるいちタイトルのいちエピソードに違和感を感じる程度、どうってことはありません。

アイマスの良いところは全てがパラレルであり、『スター・ウォーズ』のようにあるエピソードが「正史」に組み込まれるかどうかで頭を悩ます必要は無いところです。

なのになんでここまで書いてきたかといえば、前から「浅倉さんの雪歩」の変遷について自分の理論をまとめておきたかったというのがあって、そんな折にちょうどこのいわゆる「公式との解釈違い」があったので、この機にまとめておくかと思っただけです。


大体今回『ALRIGHT*』が採用されたのも、他のMVと差別化を図るために「イェーイ!」を使いたかったのでしょう(あと知名度)。このところミリシタのMVは、ASに限らず毎回新しい試みをしていて、そこは個人的に非常に好感を抱いている点でもあるので、総合的に言って全く問題はありません。これからも頑張っていただきたいところです。


そんな訳で、ここまで読んでいただけた危篤な方の中には「なんじゃそら」と思われる方もいるかと思います。なので?、おまけに今後のミリシタASソロ曲予想を置いておきます。


・おまけのミリシタASソロ曲予想


春香:『乙女よ大志を抱け!!』
知名度としては申し分なく、「私流格言」等で差別化を図れそう。
絶対「レベルアーップ!」あたりでスペシャルアピール入る。

真:『自転車』
地名度は十分。ミリオン3rd大阪でカバーされたときの、例のダンス再現もできそう。

伊織:『プライヴェイト・ロードショウ (playback, Weekday)』
ライブでも意外と披露されており、最近はミリオン6thでのカバーもあった。
「映画」という分かりやすいモチーフがあるのでMVが作りやすそう。

律子:『いっぱいいっぱい』
地名度は言わずもがな。MVで全キャラメガネ実装とかすれば話題は独占。

亜美:『微笑んだから、気づいたんだ。』
リリイベと9thで披露済。1曲くらいバラードがあった方がアクセントになる(ぼんやり)。

真美『WOW! I NEED!! ~シンギングモンキー 歌唱拳~』
リリイベで披露済。「カンフー」モチーフで作りやすそう(ぼんやり)。


ここまでの流れから、おそらくある程度知名度があるもの(ライブで披露されているもの)が優先され、かつMVに独自性が入れやすいものが実装されていくと思われます。まずMA3曲はOFAで曲に紐づいたストーリーががっつりあり、コミュを作るのが難しいので除外。そしてすでにダンスモーションがついていて、新たな要素を入れづらいものも除外。そうやって考えていくと、コロ曲とランティス曲のバランス的にもこの辺りじゃないかと思います。亜美真美に関しては、個別ソロだとちょっと選択肢が少ないところもあるので、2人いっしょのコミュとかもあり得るかも。



そんなこんなで何の話をしていたか分かんなくなってきましたが、とりあえずこの辺で。


消灯ですよ。