2026年9月20日に国立代々木競技場 第一体育館で開催された「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 14thLIVE DAY1 夢咲くワンダーミラージュ」、配信で鑑賞しました。
ツイン主演制という新たな試み……といえば聞こえはいいですが、主演アイドルの持ち時間が実質半減したうえ、これまでのようにアイドルひとりひとりににスポットを当てる内容ではなくなる懸念を大いに含んだ形式でのライブとなった今回。DAY1を観た感想としては「それぞれの主演公演を時間以上に詰め込めてはいるが、やはり時間は足りておらず忙しない」というのが正直なところ。
MCを削り、演出を削り、できる限り単独主演と遜色ない内容を見せようという努力はとても感じましたし、その気概に心打たれる部分は大いにあったのですが、今回はただでさえ時間が無い中「エミリーの世界観」、「まつりの世界観」、「2人の世界観」という3つの世界観が特に説明もなく提示されるので、今がどの世界観で何を表現しようとしているのかを考えているうちにライブが進み、あっという間に終わってしまったという印象でした。
いつもは「コンセプトをキャストに説明させるな!内容で語れ!」と思っていますが、内容で語る余裕がない今回のような場合、ある程度の説明は必要だったのではないかと思います。
エミリー主演公演「織々の花だより」
エミリーの公演は「四季をはじめとした日本文化を背景に、故郷のイギリスにも想いを馳せながらも、異国の地で見つけた自分の理想である “大和撫子” を体現する」といった内容だったと思います。新曲「ひととせ結び」がまさに今回のテーマそのものを表していて、歌詞を読めばこの公演で伝えたかった世界観もよく分かるでしょう(内容のシンクロは偶然のようですが)。
ただしこれはセトリの意図をよく考えて、新曲の歌詞を読み込んだうえでようやく得られた解釈です。初見で『初恋』と『Hug a nice day!』で四季を表現しようとしているのは何となく伝わりましたが、『風花』が冬の季語であるとか、『鉄の羽のエクソダス』がモチーフとしているスチームパンクはイギリスのヴィクトリア期がベースとなっているからエミリーのルーツを示しているのであろうとか、『オレンジ・エピソード』は遠い故郷にいる友人との大切な思い出を回想しているのだろうかとか、そういった文脈をリアルタイムで解釈するのはかなり難しかったのではと思います。
またツイン主演であることもややこしくて、冒頭の不穏なシャルシャロ風の演出から上記のテーマに繋がるとはなかなか思えませんし、助演の衣装も仮にエミリーの単独主演なら「なるほど和洋折衷でイギリス国旗カラーにイギリス的なチェック柄でエミリーらしいな」と思ったかもしれませんが、今回はツイン主演というのが先行していたので、それよりも前にエミリーとまつりで半々の衣装なのかな?と思ってしまいました。まつりパートの助演衣装もパッと見エミリーの和装部分をキャストオフしただけに見えたので「まつり衣装がベース?なんでエミリーは半分だけ?」としばらく混乱していました。(仮面ライダーのフォームチェンジみたいなカスタマイズ衣装のアイデア自体は結構好き。今後も何かに活かされそう)
そんな状況もあってなかなか集中できず、リアルタイムではこの繊細なテーマを受け取りきれなかったというのが正直なところです。これも仮に単独主演で、季節ごとに2〜3曲ゆったり使って、エミリーのルーツも含めた世界観にじっくり浸った後で、エミリーの理想とルーツのどちらも感じさせる『ひととせ結び』を聴いたら素直に超感動できただろうなと思います。
とはいえこんなことを想像できるのも公演の中に芯がきちんと通っているからで、セトリや演出の意図を考えたうえで再度観れば割と納得できます。というか私自身ここまでこの公演について考えて書いてきた中でかなり評価が上がりました。もちろんもっと分かりやすい単純なコンセプトでやることもできたでしょうが、今回のような形になったのはPへの信頼あっての選択でしょうし、そのこと自体は嬉しく思います。ただやっぱりもっと時間が欲しかった。
徳川まつり主演公演「わんだほー!まつり姫の☆プリンセスフェスタなのです♪」
一方のまつり公演はファンシーで可愛いお姫様!といったコンセプトで貫くストロングスタイル。盛り上がる曲も多く、いつものライブに近い形だったため比較的没入しやすかったのですが、エミリー公演からの切り替えが難しく、「この選曲にも深い意図が……?」しばらく疑心暗鬼でした。
もしエミリーとまつりの順番が逆だったらもう少し飲み込みやすかったかもしれません。感覚的にはこれまでのライブと同じような形で入っていけますし、助演の衣装的にも混乱しづらかったのではないでしょうか。まあギリギリまで内容は話し合われていたみたいですし、制作上難しかったのでしょうが。
映像演出も無しでパフォーマンスによるエンタメを貫く姿勢はエミリーとの良い対比になっていたとは思いますが、やはりこれも後から考えればという話で、リアルタイムで汲み取るのは難しかったと思います。そしてどうしても単独主演だったら実現していたかもしれない華やかなステージに想いを馳せてしまうのは否めません。
ただ、まつりの理想を貫くステージの最後に歌われた新曲『ネバーエンド・ワンダーランド』は素直に感動しました。ずっとまつりの歌詞を書いてきた松井さんならではの、最後まで「なのです」を使わないという必殺技を、ここしかないという場面で使ってくるのは流石の仕事。
しかし「やっぱツイン主演制って……」などとずっと考えていたせいで肝心のキャストのパフォーマンスにも集中できないまま終盤を迎え、最後は結局シャルシャロやんと思いながら見ていたら「トロッコあるの!?」「わた花!?」「新曲!?」と3連サプライズでいっきに持ってかれました。
その後の『Prima Princess!!』『 ドレスコード:最上級』『Eternal Harmony』という並びも期待を裏切らないもので、最終的な印象としては「うまくまとめられたな」といった感じです。
ただしこれはメインディッシュの物足りなさを豪華なデザートで補ったような感じで、やはり「主演公演」単体で見れば(内容が半分以下に薄まる懸念もあった中、与えられた時間以上のものを見せることができていたにせよ)これまでの単独主演公演と同じとは言えないでしょう。ライブ全体で見ればいつもの1.5倍くらいの内容が詰まっているのでいつも以上の満足感は得られたのですが、全ての賛辞が主演一人に捧げられるあの多幸感はどうしたって半減しますし、その分をデュオ新曲だけで埋められたかといえば、もちろん無いよりは100万倍良いとはいえ、それとこれとは話が別という気がします。
また、今回キャストが内容に深く関わっているということも気になっていて、普段ならキャスト発案の演出はとても嬉しいものなのですが、それは「本来ステージでパフォーマンスしてくれるだけでも十分なキャストの方が、より良いものを見せるために自ら演出を考えてくれた」ことが嬉しいからであって、「納得のいく内容にするために進んで関わらざるを得ない」というのは美談とは言えないと思います。
もちろん運営側も、おそらく本意ではない「ツイン主演制」を取らざるを得ない状況になってしまった中で(忖度参照)、主演キャストが納得できる形になるようにきちんと話し合いの場を設けて、できる限り希望を汲んでいたらしいのは良かったと思います。しかしパフォーマンスだけでも大変な主演キャストの負担を増やすのはやはり望ましくないでしょうし、全体の構成など作り込みが甘い部分は目立っていたので、もしまた「ツイン主演制」をとるのであれば、もっとよく練った上で開催して欲しいです。
今回はこの難しい状況で出来うる限りのベストは尽くしたとして、では「ツイン主演制」はどんな形ならより良かったのか?ということについても少し考えたりしたのですが、それについてはDAY2の感想と合わせて書くこととします。
それでは今回はこの辺で。
DAY2へ続く。