【映画】「ディスクロージャー・デイ」感想

スティーブン・スピルバーグ最新作『ディスクロージャー・デイ』観ました。

 

謎の組織が隠蔽し続けてきた「真実」を世界に開示すべく、天命を受けた男女が奔走する……という陰謀論ど真ん中の内容で、これを観た多くの人は困惑したと思います。

 

本作で描かれる「秘密裏に国が宇宙人を捕獲・拷問して技術を研究していた」という「真実」のありきたりさもさることながら、この「真実」を開示することによってキリスト教と矛盾が生じるという、まるで世界にキリスト教徒しかいないかのような葛藤を提示されても、どうでもいいとしか言いようがありません。

 

それでも自分が本作を嫌いになれないのは、スピルバーグの映画の上手さ(素晴らしい映像ばかりで終始目が楽しい)も勿論ありますが、何よりもここで描かれる人々の切実さに打たれてしまったからです。

自らの天命を知り救いを得るという構造は、陰謀論にハマるときのそれと完全に一致していますが、居場所がなく、役割がなく、目的もない現代の自由な社会において、陰謀論であれ「自らの役割」を与えてくれるような「真実」がある種の救いになるのも事実。

同様に救いをもたらすものである「信仰」も「真実」と共存できるということを示すことによって、対立を超えて人々が解放される……のか?というラストも、リアリティはともかくそれを願う切実さはやはり伝わりました。

 

「人間の存在に意味がない」という真実を人間は受け入れられないのでは?という問い自体にも妥当性はあり、それでも真実を開示するラストに一種の開放感も感じました。

 

まあその「真実」が「宇宙人の存在」であることが全てを馬鹿馬鹿しくしてるのですが、ここで描かれている感情はとても現代的なものだったように思います。

 

 

それでは今回はこの辺で。

消灯ですよ。

 

 

 

【ミリオン14th】ツイン主演制に未来はあるのか?(DAY2感想)

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2026年9月20日・21日に国立代々木競技場 第一体育館で開催された「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 14thLIVE」、DAY2「Blooming Sign」は現地にて鑑賞したので感想を書いていきます。DAY1の感想は↓

tokifuji.hatenablog.com

 

「765NEI」以来、およそ1年ぶりの現地参加だったのですが、まずは行ってよかったです。生身の人間がステージ上で歌ったり踊ったりしているのを見るという根源的な感動は、やはり配信やxRライブでは味わえないということを改めて感じました。配信は配信で楽なのですが、これも大きな音を浴びながら大勢の人の中で声を出したり体を動かしたりする楽しさは現地でしか味わえないものがあります。

客席やステージについては特に文句はないのですが、会場内・外の動線がかなり分かりづらかったです。特に退場時は台風の影響による豪雨もある中、規制退場もなく、狭い出口にぎゅうぎゅうに詰め込まれて大変でした。どこに向かっているかもわからず、道は軽く冠水してるわ傘は浸水するわで宿にも辿り着けないかと思った。

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この世の終わりみたいな帰り道

 

閑話休題

 

ツイン主演制の難しさを感じたDAY1でしたが、DAY2に関しては端的にめちゃくちゃ楽しかったです。特に莉緒公演に関しては今までの主演公演の中で一番好き。

ただしこれは久々の現地ということでの高揚感だとか、莉緒関連で好きな曲が多いとか、自分が山口立花子さんのファンであるとか個人的な要因も大きく、ツイン主演制による弊害が解消されていたわけではないと思います。やはり時間は足りておらず、しかしそれが比較的気にならない内容だったというだけでしょう。

もっと時間があればさらにできることも増えたでしょうし、今回の好評は初のツイン主演制という新鮮さとキャストの多大なる尽力があったおかげであり、これがこのまま定番化していっても物足りなさや不満が目立ってきてしまう気がします。言ってしまえば今回はそれぞれの主演公演の短さを豪華なおまけで誤魔化しただけで、ツイン主演制でなければ表現できない主演公演だったと言えるかは微妙で、今回楽しめたPも「自分の担当の主演公演もツイン、なんならトリプルでもいいや」とは必ずしもならないと思います。

 

今後もツイン主演制を続けるとして、「ツイン主演制“でも”いい」ではなく「ツイン主演“が」いい」と思える内容にしていく必要があると思います。それはどういうものなのか考える前に、まずは今回のDAY2を振り返っていきましょう。

 

馬場このみ主演公演「Come Know Me」

このみさん公演は、前半で「アイドルにならなかった、それはそれで幸せな可能性」を認めた上で、後半「アイドルを選んだ現在」を改めて肯定するという2部構成。

 

今回の席がスタンド中間で少し遠めだったため「主演にしては地味めの衣装だな」と思ったぐらいで、後半にに至るまで意図に全然気づきませんでした。

そのぶん11thのロコも連想する衣装チェンジの瞬間には大きなカタルシスがあり、構成的にも視覚的にも非常に分かりやすくテーマが示されていました。セトリの意図も明快で、それでいて突然『侠気乱舞』が入るなどの遊びもあり(これは社会全体がヤクザ化してることのメタファーと捉えました。絶対違うけど)、短い時間の中でまとめるためによく考えられているのが伝わりました。新曲『If I…』も公演を総括するような、良いエンディングテーマとなっていたと思います。

個人的に良かったのはミリアニ8話の探偵姉妹による『ジェミー』(渡部恵子さんが見るたび上手くなってて驚く)と、それぞれの声のバランスが良かった『it's me』(大関さんも入れて「Jus-2-Mint」が揃ったところも見たかったけど)。

 

とても綺麗にまとまっていましたが、尺に対してギミックが目立ちすぎてしまうところもあり、髙橋ミナミさん自身も語っていますが「その先の未来」を表現する時間が足りなかったのは仕方ないですが惜しいところ。

 

 

百瀬莉緒主演公演「Cheerful Love♡Call」

そもそも今回現地に行ったのは、世の中が景気の悪い話しかない中で「『週末だけのハーレクイン』でも聴いてパーっと踊りて〜」と思ったからなのですが、莉緒公演がドンピシャでそんな感じのライブになっていたうえ、全体通して好きな曲しか流れなくてずっとニコニコでした。時間は半分でしたが満足度は200%です。ありがとうございます。

 

本当にセトリが良くて、大好きな『WHY?』から始まり、ずーーーっと聴きたかった『真夏のダイヤ☆』が聴けた時点でもう100点。「Na-Na-Na」コールと一拍開ける特殊なクラップも現地でできて超嬉しかった。その後の『海風とカスタネット』『NO CURRY NO LIFE』というビーチを感じながら盛り上がる流れも良い。特に『NO CURRY NO LIFE』は4thで山口立花子さんを意識したきっかけかつ曲自体も大好きだったので、やってくれて良かったです。

チャットの演出から『Texting you』に繋がる流れも気が利いていましたし、大大大好きな『LEMONADE』まで流れてニッコニコ(選出理由は間奏のセリフで気づいた)。あえての元気なアイドルをそろえた人選も対比が効いていて歌声のバランスも良く、「タッチはあだち〜」が昴なのも完璧。そしてこの曲がカバーされるたびに、KIRINJIセルフカバー版では値上げされていたレモンの価格がそのままなのを聞いて「昔は物価が安かったな」と思うのが定番になってきました。『Be My Boy』も聴くたびに良い曲だなと思いますし、冒頭盛り上がってから一旦チルなブロックを挟むセンスも良い。

そしてこれを聴かなきゃ始まらない『花ざかりWeekend✿』から、慣れないお酒を飲む桃子にドキドキした『Border LINE→→→♡』、ラブラブな『ラ♥ブ♥リ♥』から前向き失恋ソング『ゲキテキ!ムテキ!恋したい!』(好き)に繋げるのも面白いですし、『Luvliminal image 』(好き)、『ラビットファー』(好き)、『Dance in the Light 』(伊織と歩ばかりに注目してたけど改めて昴にめちゃくちゃあってると思った)と、ここのメドレーは好きな曲しかありませんでした。

そして何より散々盛り上がった後で本命の『週末だけのハーレクイン』が来るという構成も最高で、この曲はいつ聞いても本当に元気が出る。立花子さんがセトリについて「今回は前向きな曲を選んだ」と語っていましたが、とはいえ単純に「前向き!元気!」という選曲ではなく、失恋してたり、憂鬱を抱えていたり、想いを伝えられなかったりと、ままならない人生の中でそれでも前を向くような曲が多く、まさに「悲喜もこもごもあれども今宵歓迎いたしましょう」な精神が貫かれており、クライマックスで満を持して『週末だけのハーレクイン』が流れた時の多幸感はそれはもう半端なかったです。

ひたすらに楽しかった祭りの締めとして歌う新曲『Waking Up My Heart』も格好良く、特にサビの終わりにスポットライトを浴びながら踊る姿が最高にキマっていました。あと余談ですが、現地で見る莉緒の衣装のスパンコールがキラッキラで、遠くからでもどこにいるかすぐ分かる人間ミラーボール状態だったのも最高でした。

 

その後のデュオパートは席がトロッコの停止位置に比較的近く、お二人をじっくり見られたのも良かったり、いずれにせよもう何がきても楽しい状態になっていたので何も考えずただただ盛り上がっていました。二次会の時の会場の盛り上がりも凄かったですし、久しぶりの現地がこの回で良かったです。

 

 

というわけでこのDAY2はもちろん、DAY1も色々考えたりコメンタリーが面白すぎたのもあり、結果的にはこのツイン主演制もかなり楽しみはしました。

しかしライブ後の主演キャストの方々の並々ならぬ関わり方を聞いたりする中で、改めて再現性は低いと思いました。今回はイレギュラーゆえの熱量があったから良かったものの、これが基本になってしまうと各所への負荷が高すぎてすぐに破綻してしまう気がします。結局のところ「ツイン主演制」という企画自体の練り込みが浅かったのは間違いなく、そもそもの「ツイン主演制」の意義を問い直すことから必要でしょう。

 

今回の2×2公演を観て、まず感じたのは「ツイン主演制」に向いてるアイドルと向いてないアイドルがいるということです。エミリー・まつりのように独自の世界観そのものを表現する必要があるアイドルは難しく、このみ・莉緒のように分かりやすい物語やシンプルなコンセプトを立てられるアイドルは比較的やりやすいと言えそうです。

これまでの主演で考えてみると、ロコはライブドローイングを削れば成立しそうですが普通のライブになってしまいそうで、百合子は物語をダイジェストにすれば比較的成立しそうですが、物足りなさは出てしまいそうです。麗花さんは個性の強いアイドルと組むだけで「普通さ」が際立つため万能で、歌織さんも「歌」というテーマが分かりやすいため合っている方でしょう。紗代子はバトンタッチの演出はできない分勢いは表現できそうですが、千鶴さんはあの世界観を表現するのが今回のエミリー以上に難しい気がします。

もちろんツイン主演になったらなったで別のコンセプトになるのでしょうが、いずれにしても合う・合わないは出てきそうです。

 

そしてツイン主演で魅力が減じづらいアイドルにしても短縮版になってしまうことに変わりはないわけで、ツイン主演制というのであれば単純なユニット推しではなく、二つの主演公演が互いの魅力を引き立て合うようなものが望ましいでしょう。

今回のこのみ・莉緒のように「大人」みたいな括りにすると(実際はそうなりませんでしたが)差が出しづらく互いの個性を打ち消してしまう可能性が高そうですし、エミリー・まつりは「大和撫子」「(洋風の)姫」で対立軸を組めそうですが、それ以前に各々の世界観を表現するので手一杯だったように見えます。

 

全く違うコンセプトを並べても当然ガチャガチャするだけでしょうし、同じ軸の正反対のコンセプトを並べるというのが一番分かりやすいのかもしれません。

例えばギミックモリモリの茜ちゃんと普通の麗花さん(もう実現不可能ですが)、孤高の朋花と友達大好き恵、落ち着いた大人の風花さんとわんぱくキッズの環などの組み合わせがパッと思いつきましたが、意外とちょうどいい組み合わせは多くなさそう。

 

とはいえ正直単独主演ができるならそれに越したことはないですし、では別の見せ方があるのか?などなど、まだまだ課題は山積みのように見えます。願わくば全ての主演が担当Pやキャストの納得のいく形で完走できることを願っています。欲を言えば諸々の課題を一気にひっくり返すような、画期的なアイデアが見られればなお嬉しい。

 

ひとまずは今回のライブに関わった皆さん、特に主演キャストの皆さん、本当にお疲れ様でした。

 

15thの発表はなかったものの、来年はデレミリ対バン(行きます)、ミリシタ10thもあるので楽しみは尽きません。

 

 

それでは今回はこの辺で。

消灯ですよ。

【ミリオン14th】やっぱりツイン主演制って……(DAY1感想)

2026年9月20日に国立代々木競技場 第一体育館で開催された「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 14thLIVE DAY1 夢咲くワンダーミラージュ」、配信で鑑賞しました。

 

ツイン主演制という新たな試み……といえば聞こえはいいですが、主演アイドルの持ち時間が実質半減したうえ、これまでのようにアイドルひとりひとりににスポットを当てる内容ではなくなる懸念を大いに含んだ形式でのライブとなった今回。DAY1を観た感想としては「それぞれの主演公演を時間以上に詰め込めてはいるが、やはり時間は足りておらず忙しない」というのが正直なところ。

 

MCを削り、演出を削り、できる限り単独主演と遜色ない内容を見せようという努力はとても感じましたし、その気概に心打たれる部分は大いにあったのですが、今回はただでさえ時間が無い中「エミリーの世界観」、「まつりの世界観」、「2人の世界観」という3つの世界観が特に説明もなく提示されるので、今がどの世界観で何を表現しようとしているのかを考えているうちにライブが進み、あっという間に終わってしまったという印象でした。

いつもは「コンセプトをキャストに説明させるな!内容で語れ!」と思っていますが、内容で語る余裕がない今回のような場合、ある程度の説明は必要だったのではないかと思います。

 

エミリー主演公演「織々の花だより」

エミリーの公演は「四季をはじめとした日本文化を背景に、故郷のイギリスにも想いを馳せながらも、異国の地で見つけた自分の理想である “大和撫子” を体現する」といった内容だったと思います。新曲「ひととせ結び」がまさに今回のテーマそのものを表していて、歌詞を読めばこの公演で伝えたかった世界観もよく分かるでしょう(内容のシンクロは偶然のようですが)。

ただしこれはセトリの意図をよく考えて、新曲の歌詞を読み込んだうえでようやく得られた解釈です。初見で『初恋』と『Hug a nice day!』で四季を表現しようとしているのは何となく伝わりましたが、『風花』が冬の季語であるとか、『鉄の羽のエクソダス』がモチーフとしているスチームパンクはイギリスのヴィクトリア期がベースとなっているからエミリーのルーツを示しているのであろうとか、『オレンジ・エピソード』は遠い故郷にいる友人との大切な思い出を回想しているのだろうかとか、そういった文脈をリアルタイムで解釈するのはかなり難しかったのではと思います。

またツイン主演であることもややこしくて、冒頭の不穏なシャルシャロ風の演出から上記のテーマに繋がるとはなかなか思えませんし、助演の衣装も仮にエミリーの単独主演なら「なるほど和洋折衷でイギリス国旗カラーにイギリス的なチェック柄でエミリーらしいな」と思ったかもしれませんが、今回はツイン主演というのが先行していたので、それよりも前にエミリーとまつりで半々の衣装なのかな?と思ってしまいました。まつりパートの助演衣装もパッと見エミリーの和装部分をキャストオフしただけに見えたので「まつり衣装がベース?なんでエミリーは半分だけ?」としばらく混乱していました。(仮面ライダーのフォームチェンジみたいなカスタマイズ衣装のアイデア自体は結構好き。今後も何かに活かされそう)

 

そんな状況もあってなかなか集中できず、リアルタイムではこの繊細なテーマを受け取りきれなかったというのが正直なところです。これも仮に単独主演で、季節ごとに2〜3曲ゆったり使って、エミリーのルーツも含めた世界観にじっくり浸った後で、エミリーの理想とルーツのどちらも感じさせる『ひととせ結び』を聴いたら素直に超感動できただろうなと思います。

とはいえこんなことを想像できるのも公演の中に芯がきちんと通っているからで、セトリや演出の意図を考えたうえで再度観れば割と納得できます。というか私自身ここまでこの公演について考えて書いてきた中でかなり評価が上がりました。もちろんもっと分かりやすい単純なコンセプトでやることもできたでしょうが、今回のような形になったのはPへの信頼あっての選択でしょうし、そのこと自体は嬉しく思います。ただやっぱりもっと時間が欲しかった。

 

徳川まつり主演公演「わんだほー!まつり姫の☆プリンセスフェスタなのです♪」

一方のまつり公演はファンシーで可愛いお姫様!といったコンセプトで貫くストロングスタイル。盛り上がる曲も多く、いつものライブに近い形だったため比較的没入しやすかったのですが、エミリー公演からの切り替えが難しく、「この選曲にも深い意図が……?」しばらく疑心暗鬼でした。

もしエミリーとまつりの順番が逆だったらもう少し飲み込みやすかったかもしれません。感覚的にはこれまでのライブと同じような形で入っていけますし、助演の衣装的にも混乱しづらかったのではないでしょうか。まあギリギリまで内容は話し合われていたみたいですし、制作上難しかったのでしょうが。

 

映像演出も無しでパフォーマンスによるエンタメを貫く姿勢はエミリーとの良い対比になっていたとは思いますが、やはりこれも後から考えればという話で、リアルタイムで汲み取るのは難しかったと思います。そしてどうしても単独主演だったら実現していたかもしれない華やかなステージに想いを馳せてしまうのは否めません。

ただ、まつりの理想を貫くステージの最後に歌われた新曲『ネバーエンド・ワンダーランド』は素直に感動しました。ずっとまつりの歌詞を書いてきた松井さんならではの、最後まで「なのです」を使わないという必殺技を、ここしかないという場面で使ってくるのは流石の仕事。

 

 

しかし「やっぱツイン主演制って……」などとずっと考えていたせいで肝心のキャストのパフォーマンスにも集中できないまま終盤を迎え、最後は結局シャルシャロやんと思いながら見ていたら「トロッコあるの!?」「わた花!?」「新曲!?」と3連サプライズでいっきに持ってかれました。

その後の『Prima Princess!!』『 ドレスコード:最上級』『Eternal Harmony』という並びも期待を裏切らないもので、最終的な印象としては「うまくまとめられたな」といった感じです。

 

ただしこれはメインディッシュの物足りなさを豪華なデザートで補ったような感じで、やはり「主演公演」単体で見れば(内容が半分以下に薄まる懸念もあった中、与えられた時間以上のものを見せることができていたにせよ)これまでの単独主演公演と同じとは言えないでしょう。ライブ全体で見ればいつもの1.5倍くらいの内容が詰まっているのでいつも以上の満足感は得られたのですが、全ての賛辞が主演一人に捧げられるあの多幸感はどうしたって半減しますし、その分をデュオ新曲だけで埋められたかといえば、もちろん無いよりは100万倍良いとはいえ、それとこれとは話が別という気がします。

 

また、今回キャストが内容に深く関わっているということも気になっていて、普段ならキャスト発案の演出はとても嬉しいものなのですが、それは「本来ステージでパフォーマンスしてくれるだけでも十分なキャストの方が、より良いものを見せるために自ら演出を考えてくれた」ことが嬉しいからであって、「納得のいく内容にするために進んで関わらざるを得ない」というのは美談とは言えないと思います。

 

もちろん運営側も、おそらく本意ではない「ツイン主演制」を取らざるを得ない状況になってしまった中で(忖度参照)、主演キャストが納得できる形になるようにきちんと話し合いの場を設けて、できる限り希望を汲んでいたらしいのは良かったと思います。しかしパフォーマンスだけでも大変な主演キャストの負担を増やすのはやはり望ましくないでしょうし、全体の構成など作り込みが甘い部分は目立っていたので、もしまた「ツイン主演制」をとるのであれば、もっとよく練った上で開催して欲しいです。

 

今回はこの難しい状況で出来うる限りのベストは尽くしたとして、では「ツイン主演制」はどんな形ならより良かったのか?ということについても少し考えたりしたのですが、それについてはDAY2の感想と合わせて書くこととします。

 

 

それでは今回はこの辺で。

DAY2へ続く。

 

【読書】Audibleで聞いた本あれこれ

最近またAudibleで本を聞く習慣ができてきた。長時間ある分ながら聞きにはやはり便利。

 

以下最近聞いた本

 

『 自由の命運―国家、社会、そして狭い回廊―』(上・下) ダロン・アセモグル、ジェイムズ・A・ロビンソン 著、 櫻井 祐子 訳

「自由な社会」が現れるのはどのような状況なのか。それは国家が強大な力を持つ「専横のリヴァイアサン」、そして国家が全く機能しない「不在のリヴァイアサン」の間に挟まれた狭い回廊の中にある。そしてこの回廊に留まり続けるには、国家が強い力を持ちながら、社会の側も国家が暴走しないための足枷を嵌める力を持っている状態「足枷のリヴァイアサン」を目指さなければならないということを、様々な国家や社会の歴史を分析する中で示していく。

国家の力が強い社会に自由が無いというのは想像できるが、国家が力を持たない社会にも自由が無いという視点は新鮮だった。他方国や社会など大きな話に終始しており、そこに生きる個々の人間に対する視点は薄いが、国や社会が目指すべきところを明解に示せているのは意義深い。

上巻は図書館で借りて紙で読んでいたのだが、途中でAudible版があることに気づいて移行。しかし図を参照できなかったり、聞きなれない土地の聞きなれない固有名詞が飛び交うため、これは紙の本で読む方が合っていると思う。

 

 

『言語化するための小説家思考』小川哲 著

内容自体にそこまで新鮮味がある訳ではないが、論旨が非常に分かりやすいのと「ゴミである」といった言葉が度々出てくる皮肉な語り口が面白く、あっという間に聞ける。小川氏の小説は読んだことがなかったが、読んでみたくなった。

 

 

『人間らしさとは何か 生きる意味をさぐる人類学講義』海部陽介 著 (途中)

『自由の命運』で社会については考えたため、今度は社会を構成する人間そのものについて知るために聞き始めた。

まだ途中だが、ヒトがどのように進化してきたのか、なぜヒトのように知能を発達させた生物がいないのか、他の動物と比べても優れているヒトの身体的特性とは?、胎児が未熟なま生まれてくるのはなぜ?などなど、興味深い研究が数多く知れる。

講義を書籍化したという構成のため音声との相性も非常によく、超面白い講義を受講している気分で楽しめる。

 

 

引き続きいろいろな本を聞いていこうと思うが、まもなく小坂井敏晶氏の新刊『支配の位相幾何学 ――差別とメリトクラシーの根源を問う』(超面白そう)が発売されるため、差し当たってはそちらに集中したい。

 

 

それではこの辺で。

消灯だよ〜。

【映画】Youtubeが生んだ才能『バックルームズ』感想(ネタバレ)

映画『バックルームズ』観ました。

 

「The Backrooms」とは、アメリカの匿名掲示板発の都市伝説。奇妙な黄色い部屋が写った一枚の画像から草の根で広がっていった世界を元に、まだ10代だったケイン・パーソンズがYoutubeにアップした一連の動画シリーズが今回の映画版に繋がっています。

本作の日本公開が決まる少し前、Youtubeのおすすめで彼の動画がたまたま流れできたのがきっかけでバックルームズにハマったばかりだったので、今回の映画も非常に楽しみにしていました。

 

 

このYoutubeの動画シリーズがそもそもすごい。基本的にはCGで作られた映像でありながら実写の映像をシームレスに繋げたり、ビデオテープのエフェクトを上手く活用しており一見してCGと分からないほどの映像となっています。他にも手持ちカメラの手ブレ感、編集、演出、音響等、どれも素人離れしていて10代の仕事とは思えません。この若さで監督を任されるのも納得。

 

バックルームズ世界には黄色い部屋以外にも様々な空間があり、「エンティティ」と呼ばれる怪物が存在するとされています。そういった設定について考えるのもバックルームズの大きな楽しみではあるのですが、今回の映画は諸々の設定を見せびらかすようなことはせず、あくまで空間そのものの奇妙さであったり、不安といった感覚を中心に置く抑制の効いた演出が好印象。

 

とはいえ冒頭のファウンドフッテージ映像では監督の動画シリーズに登場する「バクテリア」と呼ばれるエンティティ(上に貼った動画のサムネにいるやつ)……と思わせるような絶妙な位置に三脚が置かれていたり、「プールみたいな部屋があった」というセリフ、謎の大企業「Async」など、「The Backrooms」及び彼の動画シリーズのファンへのサービスも抜かりなく、初の長編映画としても非常に良いバランスだったと思います。

 

また主人公の家具屋が撮影するローカルCMの感じなども、元ネタと思われる動画を例のごとくYoutubeのおすすめから見ていたのでニヤリと出来ました。勿論監督もリアルタイム世代ではないので、やはりYoutubeでこれらの文化を知ったのでしょうし、まさにYoutube時代の映画と言えるでしょう。

 


 

 


これはローカルCMをパロディしたギャグ

 


ケイン・パーソンズと同じくYoutube出身カリー・パーカーの『オブセッション 災愛』に登場するアイテムの90年台風架空CM

 

他方Youtubeの動画から長編映画にするために避けては通れなかったドラマパートについては賛否両論ありますが、「The Backrooms」及びリミナルスペース(不気味な無人の空間)に「惹かれてしまう人」については的確に表せていたと思います。

社会に馴染めず常に「ここではないどこか」を求めてしまう。誰かと居ることに対して息苦しさを感じてしまう。そんな心の隙間を抱えた人間にとって、「The Backrooms」は恐怖と同時に一種の憧れのようなものを感じさせる対象なのではないでしょうか。

 

その点本作における「The Backrooms」は様々な設定を持つお化け屋敷ではなく、むしろ主人公クラークの精神世界とも取れるように描いているのも良い調整で、なんとも言えない不安を醸し出す空間と、そこに惹かれる人間という構図が「The Backrooms」という現象そのものを上手く描けていたのではないかと思います。

 

もちろんドラマパートが少々退屈なのは否めないですし、展開も乱暴で、部屋に入ったり出たりを繰り返す構成のテンポが悪さも気になります。しかし描くべきものはしっかり描かれており、刺さる人には間違いなく刺さる一本になっていたと思います。私もちゃんと刺さりました。(ただしラストのおまけ映像だけは地味だし長いし劇場で見るものではなかったかなと思います……)

 

ともあれこれで世界観の説明は済みましたし、既に制作が噂されている続編では、さらに広がった世界を見られることを期待しています。楽しかった!

 

 

それではこの辺で。

Level6

【亜美真美】dual twin live tour「ふたごぼしのつばさ」「つみまつよるまち」東京公演感想【あずりつ】

2026年8月27・28日に Zepp Hanedaで開催された「dual twin live tour 双海 亜美・双海 真美 twin live “ ふたごぼしのつばさ ” / 三浦 あずさ・秋月 律子 twin live “ つみまつよるまち ”」、両日配信で鑑賞しました。ツアー前半の大阪・名古屋公演はYoutubeの冒頭無料配信を観ただけです。

 

今回は3都市2公演ずつのツアーということで、2日で3公演が基本だったこれまでの765xRライブシリーズから単純に公演数は2倍となっており、配信だけでも全通すれば総額27000円となります。現地で全通するならば最低でも6万円+遠征費というなかなかのハードルとなっており、やむなく最終公演配信のみの参加としました。

そのうえ木金の平日開催という点でもハードルが上がっており、どういうつもりでこの形での開催になったのかは気になります。ゆきまこ、やよいおり等に比べればメジャーなカップリングではないからミリオン14thのようにセットにするという戦略は分かるのですが、だとすれば木金の平日開催という選択は不自然。強気なのか弱気なのか分かりません。

最近は会場を抑えるのも難しく、経費も上がっているのは分かるのですが、アイマス全体でもイベントの数が増え、内容もマニアックになってきており、イベント参加のハードルがどんどん上がってきている気がします。

 

……どうしても景気の悪い話題から始まってしまいますが、内容としては2公演とも面白く、特に今回の最終公演を観れたのはとても良かったです。

 

 

ふたごぼしのつばさ

「ふたごぼしのつばさ」は、設定があまりにも漫画『棺担ぎのクロ。』のニジュクとサンジュすぎやしないかとは思いましたが、世界観に対して筋が通ったセトリになっており、盛り上がる曲も多く、何より亜美真美が動いているのを観るだけで楽しい。

目当てだった『ユニーク・スターズ・オン・ステージ!!』(これまでセルフで合体したやつを聴いていたため、正式名称初めて知った!と思ったが「THE IDOLM@STER 765PRO LIVE THE@TER COLLECTION Vol.2」に収録されていたのを完全に見落としていた)は、MRでしか実現できないカオスなステージで最高でした。

そして新曲の『北極星をズラしちゃえ!』は、アイマスも強く影響を受けた初期ハロプロ楽曲に先祖返りしたようでいて全く古さを感じさせない、これ以上ないほど亜美真美にピッタリの新曲になっていて最高でした。作詞作曲の星部ショウさんはもちろん、編曲の明石裕太さんも素晴らしい仕事だったので、是非また関わってほしい。全体曲とかやってほしい。

 

しかしこの公演で何より語らなければならないのが最後のトラブルでしょう。

配信では分かりませんでしたが、現地では冒頭の『スタ→トスタ→』で映像が途切れるハプニングがあったことに加え、ツアーを締めくくる大トリの『翼』カバーで亜美の声が聴こえないという大トラブル。それまでの全てが台無しになりかねない最悪のトラブルだったと思いますが、直後に謝罪と再演のアナウンス、そして亜美真美からの生メッセージという完璧な対応に加え、会場のP達の熱量も相まって完全に挽回したと言っていいでしょう。今回の公演を生で観られて本当に良かったです。

今回のトラブルは全く洒落にならないレベルでしたが、完成した映像を流しているだけではないということも分かりましたし、となればまだまだ工夫の余地も色々ありそうだとも思えたので、2度とこういうことが無いように気をつけていただきつつ、今回の経験を活かしてより良いものを作っていただければと思いました。

 

つみまつよるまち

「つみまつよるまち」は「ふたごぼしのつばさ」に比べてかなりしっとりとした印象で、しっかり対比が効いていたと思います。

 

特に良かったのが構成で、中盤の「ふたごぼしのつばさ」とのクロスオーバーから吹っ切れて明るい曲を歌うという構成には、他のライブではなかなか感じられない、dual twin liveならではのカタルシスがありました。

今回のライブ形式について最初に文句めいたことも書きましたが、少なくとも内容としてはこの形式である必然性があったと思いますし、セトリを見る限り全通していればさらに感慨も増していたことでしょう。

 

歌に関しても挑戦的で、あずささんはシリアスで余裕のない歌声、律子はウィスパーで抑えた歌声が基調となっており、20周年を超えてなお新たな表情が見れるのはやはり嬉しい。

 

新曲『Binary Star』は低体温で独特な浮遊感が気持ちの良い、期待を裏切らないパソコン音楽クラブサウンド。特に律子は普段歌っている曲とは真逆な曲調に合わせて、歌声も今まで聴いたことのない可愛らしいものになっており新鮮でした。ここ最近『灯』『Discord Area』など律子の歌の幅が広がっていて、挑戦をやめない姿勢に元気が出ます。

 

そして印象的だったのがアンコール『フタリの記憶』で感極まる律子とその後のMC。ここは見ていて戸惑いましたが、演出とするにはあまりに生々しく、これまでにないタイプの実在感を感じました。亜美真美に関しては純粋なトラブルでしたが、IWSFのDAY3などもそうですし、xRも鑑賞するのになかなか油断ならなくなってきました。現状何が正解かはまだ分かりませんが、手探りで様々な模索がなされている状況はやはり楽しいものです。

 

 

というわけでクオリティ的には申し分なく、新たな試みもあり新しい可能性も案じられた良いライブでした。この先はしばらく空いて、来年7月の765vs961となるので、それまでにラストの春香をやるのかどうか。ただやるとしても765ASフルメンバーとセットでやりそうな気もするので、しばらく展開は続きそうです。

しかしまだNEIの余韻が残っているので大丈夫なのですが、やっぱりキャラライブとキャストライブは別物なので、そろそろキャストライブの予定もあると嬉しい。大きなライブはxR展開が一区切りついてからという可能性が高いので、デレvsミリ(ここ最近のライブで一番楽しみ)みたいに他ブランドとの対バンとかやってくれないかしら。

 

 

それではこの辺で。

消灯ですよ。

 

 

 

 

書くことがない

書くことがない。

 

ここは主に映画・ドラマ・音楽・本・アイマスについての感想を書くブログであるから、書くことがないというのは、『オークストリートの異変』の感想を書いた先週から1週間なにも新しいものに触れていないということである。

 

ではその間何をしていたのかといえば、スト6だ。何もやる気が起きない中で、なぜかランクマッチはできてしまう。何か別なことをしようと思っていても、気づいたらPS5の電源を入れている。スト6が楽しいのであれば別に問題はないのだが、前回の調整で使用しているエドが弱体化して、しかもそれまで出来ていたことが出来なくなるタイプの調整であったため、プレイしている間のストレスが尋常ではないのだ。なのに気づけばランクマッチをしている。中毒である。

なぜ自分がここまでスト6中毒になっているかについて書くことはできる。しかし書く気にはならない。書いたところで意味がないからだ。何かに中毒になるときのしくみには、大したバリエーションが無く、最近で言うところの「ドーパミン中毒」という言葉で概ね説明が終わってしまう。自明のことについて書いても面白くない。

 

同じ理由で日記も書く気にならない。自分が経験したことは自明であるし、わざわざ文章として残す必要がない。必要なことはメモからリマインダーに残せばよい。要らなくなれば消去するだけだ。

そのうえカメラが自身の姿を写せないように、灯台が自身を照らせないように、自分のことなど自分では絶対に分からない。絶対に分からない対象が、その歪んだレンズ越しに写した世界を記述したものは、少なくとも自分にとっては全く価値のないものだ。

無論、価値のないものを生み出す自由はあるし、他人からすれば何らかの価値を持つこともあるだろう。自分を定義できないことに悩んでいる人ならば、ひとつの処方箋ともなり得るかもしれない。しかし、このブログは自分が自分が自分のために残している備忘録であり、自分にとって意味のないものを置いておく理由はない。ゆえに日記は書かない。

 

そんなことを言い出したら映画の感想だって意味が無いとも言えそうだがそうではない。映画そのものから受け取る情報は、その人の状態にもよるが基本的には同じであり、それをどう解釈するかはある程度論理の介在する余地がある。元となる情報が同じであれば、その解釈が妥当かどうかは客観的に検証できるし、妥当でない解釈も妥当でないものとして楽しむことができる。

自分の日常は自分という非常に偏ったレンズを通した見方しかできないが、映画やその他のエンタメ作品などは論理を通して様々な楽しみ方ができるから、感想を書くことには意味を感じられるのだ。逆に世間の解釈と自分の解釈が一致している場合は特に書く気にならないのだが(最近では『スパイダーマンBND』とか)。

 

…….ここまでものは試しと思ってダラダラと益体のないことを書いてきたが、どこまで行っても自分の理論でしかなく、書いていてあまり面白くはないため、スト6やめてなにか新しいものに触れていきたいところ。とりあえず今週は亜美真美あずりつのxR配信を観るから安心!

 

 

それではこの辺で。

 

お、マッチングした。

 

消灯ですよ。