魅惑の怪獣プロレス観戦ツアー『ゴジラvsコング』感想(ネタバレあり)

ゴジラvsコング』観ました。

 


 

 

本作は2014年のギャレス・エドワーズ監督『GODZILLA ゴジラ』から連なる「モンスターバース」最新作。タイトル通りゴジラキングコングの対決を楽しめる、いやむしろその対決のためだけにあるような映画です。

 

オープニングクレジットからしゴジラ・コング両者の過去作での戦績をトーナメント風にモンタージュする「決勝!ついにこの2人がぶつかります!さあ、どちらが勝つのでしょう!?」とナレーションを入れたくなる作りになっており、兎にも角にもこのビッグマッチを見せることに振り切っているのが伺えます。

 

ストーリーらしきストーリーはほとんど無く、過去作の登場人物が再登場したりするのですが、これまでも大概人物描写は薄かったので全然ピンとこない。しかも研究者パートはまだ分かるのですが、ゴリゴリ陰謀論ポッドキャスト配信者と、それにドップリハマったオタク達の冒険パートが同時進行という謎構成。

 

ドラマに関しても当然薄く、「(巨大生物の起源である)地下空洞へ向かうリーダーになってくれ!」→「でもあそこで耐えられる設備無いし…えっあるの?行くわ!」とか「コングを地下空洞までの案内役にしたい」→「いやそれは………いいよ!」と言った具合に、一時が万事葛藤が5秒で終わるので、ゴジラvsコングのリングを変えるために話を進める舞台装置以上の機能は気持ちいいくらいにありません。同時に細かな展開も一貫して穴だらけでツッコミ出したらキリがありません。でもそれでいいのです。1番大事なのはゴジラとコングのバトルなのですから。

 

薄い人間達に比べ、今回のコングは異常に人間味を感じさせます。今回コングは手話での会話が可能であることが示されますが、それ以前にボディランゲージで多くを語りまくっているので、手話が無くても感情が手に取るように分かります。髑髏島の少女ジアの言うことにはなんでも従ったり、「地下空洞とか行かねえよ」と南極でしょんぼりしてたのが「家族いるかもよ?」と言われた瞬間喜び勇んで突入したり(例によって葛藤は5秒)、斧拾って「ウォォォォォォォォ!!」とか叫んでみたりと、単純な思考が目に見えて可愛い。個人的には地下空洞の要塞で扉の手のひらマークを見て「ん?ここを押すのか!」と手を見たり、斧型の窪みを見て「ん?ここにはめるのか!」と斧を見たり、あまりに親切で分かりやすい動きをしていたのがツボでした(親切すぎる!)。そんな人間味に加え、少女に入れ込む、ヘリで運ばれる、摩天楼に登るなど、オリジナルの『キングコング』に準じた展開も多く盛り込まれており、今回は実質コングが主役となっていました。

 

一方のゴジラはというと、今回はヒールに徹していて、(一応理由があるとはいえ)さながら誰彼構わず喧嘩をふっかけるチンピラのようです。コングとメンチ切って威嚇し合う様子なんて不良映画かヤクザ映画そのもの。

 

アクションは非常にダイナミックで、両者の巨大感を強調するアオリ視点から撮ったり、逆に超クローズアップから撮ったりと、USJとかのアトラクションに乗ってるようでとても楽しい。作中では確実に膨大な人間が死んでいますが、そんなことを気にする必要はありません。私は今回IMAX3Dで観ましたが、そういう巨大なスクリーンで観るのがやはりオススメ。アトラクション感からMX4Dのような席が動くタイプも合いそうな気がします。

 

多分企画が出た時点で大抵の人が予想していたでしょうが、最後はゴジラ・コング共通の敵が現れて一時共闘という流れ。ベタではありますが、敵が案の定暴走したメカゴジラ(操縦は小栗旬!)というのも含め、これはストレートにアガるところ。トドメにコングがメカゴジラの頭部を脊椎ごと引っこ抜くところなどは、直前に『モータルコンバット』を観ていたため「FATALITY! KONG WINS! FLAWLESS VICTORY!」のナレーションが脳内に流れました。そして常に目が白く光っていた『モータルコンバット』の浅野忠信に続き、今作の小栗旬も白目を剥いて頑張っていたので、ハリウッドで日本人の白目ブームが到来しているのかも。

 

言ってしまえば大味バカアクション映画なんですが、本作はちゃんとその点を自覚して振り切って爽快な作りにしているので、観ていてとても気持ちが良かったです。早くコロナ禍が落ち着いて、未だ延期されてる作品も含め、こういう作品が大きいスクリーンでジャンジャカかかる世の中になればいいなと思います。(そうなったらそうなったで辟易したりして)

 

 

それではこの辺で。

 

消灯ですよ。