【アイマスMR ENCORE】亜美真美回初日感想——安定のエンターテイナーと「生」の楽しさ

「THE IDOLM@STER MR ST@GE!! MUSIC♪GROOVE☆ENCORE」イベント初日に当たる2月22日の亜美真美回第一部に参加してきました。



今回私が担当としているところの雪歩が居なかったため、特にこだわらず行ける時に行こうと思ってたまたま都合がついたのがこの日だったのですが、思えば唯一の2人公演である亜美真美回は是非とも行っておきたかったので、結果的に渡りに船となった形です。

アイマスMR自体は前回の「2nd SEASON」雪歩回(2018年9月)で初めて参加し、非常に驚き、かつ楽しんだので、1年以上期間を開けての開催となる今回は、主にあれからどれだけ進化したかを楽しみに出向きました。


・全体の構成〜ユニットパート感想

というわけで本編についてですが、まず演出・構成に関してはほぼ前回のものをそのまま踏襲したような形でした。(小鳥さん挨拶〜ユニットパート〜ソロ1曲目〜トークパート〜ユニットパート〜ソロ2曲目〜最後の挨拶〜社長挨拶)

ここに関しては正直落胆もあって、というのも前回気になった点が技術面というよりは演出・構成面によるものが大きかったので(詳しくは当時の感想で)、そこのブラッシュアップはかなり楽しみにしていたのもあり、それがほとんど見られなかったのはやはり残念でした(なんかプロミ2018でも同じようなこと言ってたような......)。私は参加していませんが、前回の亜美真美回の記事を読む限り、細かい段取りに至るまでほぼ同じだったようです。


まあ、これに関しては演出家のひとがシンデレラ7thの準備とか、DJ KOOとご飯に行ったり、DJ KOOのラジオに出たり、DJ KOOにリプライを飛ばすのに忙しかったというのもあるでしょうし、会場である「DMM VR THEATER」が今年の4月で閉館するため、今更新しいことをやっても仕方がないというのもあるのかもしれませんが、前回から1年以上間が空いているのですから、せめて新しい要素のひとつやふたつは欲しかった気はします。

とはいえひたすら驚き戸惑っていた前回と違い、ある程度冷静に全体を観ることができたため、細かいところも色々気付けたことについてはまあ良かったと言えるかもしれません。


そんな視点で公演を振り返っていきますが、まずは最初のユニットパート。

前回は最初のこのパートをどう見たらいいのか分からず最も戸惑ったパートでしたが、今回はどんな感じかも分かっていたので、無難に乗りつつ細部を見れました。満員の会場も初回の初回に集まるような人たちというのもあってか、特に戸惑いもなく盛り上がっていたと思います。

今回気づいたこととしては、ユニットパートにおけるフォーメーションの重要性です。

前回見たときは「今誰が歌っているのか分からずMVのように見える」と感じたのですが、今回もMV感は多少感じたものの、よく見ると全部ではないですが歌っている人物だけが正面を向くだとか、中心にいるだとか、スポットライトが当たるだとかフォーメーションである程度見分けがつくようにはできていました(『ザ・ライブ革命でSHOW!』とかは特に分かりり易い)。しかし曲によっては全員が常に真っ正面を向いてたりもするので、やはり一番誰が歌っているか一番分かりやすかったのはマイクを持ってのステージだったと思います。あとサイドのモニターにキャラのアップを映すのもまたやってましたが、目の前のステージと映像のステージの比率が異なるため、現実と映像とで齟齬が生じていたのがちょっと気になりました。

あとは何の説明も無くこのパートが始まるのはやはり不親切だと思います。このパートは何なのか、自分たちは「ファン」なのか「プロデューサー」なのか、はっきり示されないためイマイチ没入しきれないのではというのは改めて感じました。

一方で、単純に等身大のアイドル達、特に担当アイドルが歌い踊るのはそれ自体に琴線を刺激する力があるのは事実で、個人的にも雪歩が出てくるたびにグッとくるものはありました(前回同様主演の方ばかり意識して、全員出てくるのを忘れてたので雪歩が出てきて普通にびっくりした)。


・ソロパート感想

ともあれMR1番のキモはユニットパートではなく、主演のソロ曲・トークパートな訳で、そちらはどうだったかといえば、前回からの技術の進歩を強く感じることができました。

まず最初のソロ曲(『ジェミー』)ですが、これが直前のユニットパートと遜色ないクオリティの映像で、前に見た雪歩回で気になったギクシャク感はほとんど無く、非常に滑らかでした。むしろ、たまにあるわずかなブレや、最後に2人でハートマークを作るのですが、そこがちょっとズレてたりするのを見てようやく生でやってることが分かる程です。

2人同時に動くことの不都合も全く感じさせませんでしたし、リアルタイムアニメーションとしては今回でだいぶ極まっていました。


極まっているといえばトークパートも同様で、何と言ってもあのエンターテイナー亜美真美ですから、面白くならないわけがありません。

雪歩回で感じたちょっとの危うさと、それを埋めようとする客席の連帯感はMR特有のものかと思っていましたが(当時は双方で戸惑いがあったのも事実でしょうが)、今回の亜美真美の安定感を見る限り、雪歩自身のキャラクターによるものも大きかったのかもしれません。

もちろん、雪歩の場合は応援したくなる危うさというのが大きな魅力でもあって、当時はそれがしっかり表現されていたということであり、アイドルそれぞれで特有の空気があるのでしょう。余裕があれば他のアイドルとも比べて見たかったところです。

その中で亜美真美は、どこまでもこちら側を楽しませてくれるというのが1番の特色なのは間違いないでしょう。常にこちら側に働きかけてきて、面白い(うるさい)動きをし続け、ちょっと観客の反応に迷いが見えれば「こういうときはこう反応するんだよ」と分かりやすく誘導してくれます。まさにエンターテイナーの鑑!

トークの内容としては、まず真美のモノマネのリクエストということで指名された女性が「亜美」を指定してひと盛り上がり。余談ですが、真美のモノマネの瞬間に、ちょっと前に中座していた男性が席に戻る途中で盛大にコケていて、そっちに気を取られてモノマネの中身はあまり記憶に残ってません。彼、大丈夫だったかなあ。

続くジェスチャーゲームでは、亜美が跪き何かを差し出す仕草で(受ける真美はそっぽを向く)、指名された男性が「プロポーズ」と答え正解。しかし本番はそこからで、「今日は誰ときたの?」という質問に男性が「彼女」と答えてから「プロポーズの予定は?」「まだ付き合って1週間なんで…」「いつ頃になったらするつもり?」と公開尋問が始まり、外野としては大爆笑でした。周りの客からは「ガンバレー!」との応援も飛び出し、いつものライブで声優さんに投げられちょっとピリつくこれも、観客間で行われるとこんなにも面白いのかとさらに爆笑でした。ここはジェスチャーのお題からこの話題につなげるために、完全にカップルを探して狙い撃ちしてましたね。怖い怖い。


続くジェスチャーゲーム第2弾では、客席側はさっぱりさっぱり分からず困惑して固まっていると、映像までもが突然フリーズ!


暗転して小鳥さんの「トラブルのため少々お待ちください」とのアナウンスが流れます。

これは演出でも何でもなく、純然たるトラブルだったわけですが、個人的には「超ラッキー!」と内心ガッツポーズをしていました。

だって、こんなことは滅多にお目にかかれるものでは無いですし、ライブでもイベントでも、(基本は問題ないことを前提として)こういった揺らぎや失敗にこそ「生」であることを強く感じられるわけです。ソロ1曲目のところにも近いことを書きましたが、あまりにつつがなく完璧に事が進んでいるとせっかく「生」でやっていることの面白みが伝わりづらいという側面は確実にあります。特に映像が主体のMRではそこが特に強く現れるため、かなり表現が安定してきた現在、むしろどうやって不安定な揺らぎを与え「生」感を演出できるかが重要になってきそうです。

また、小鳥さんのトラブル用アナウンスがしっかり用意されてることにも感心して、会場内の小道具といい、こういう細かいところに気が利いているのはシンプルにすごいと思いました。

一方、こういうトラブルはどうやって復帰するのかも重要なのですが、そこは天下の亜美真美。少しの間をおいて(1、2分程度だったと思います)小鳥さんによる再開のアナウンスののち、亜美真美がさっきのジェスチャーはヤキニクマンのキャラクターであることを明かしつつ(分からなくて当然)、そのキャラは時を止めることができるため現実でも時が止まってしまったと気の利いたセリフで笑いに昇華していました。さすが!


その後の最後のソロで使う衣装選びは、色違いの衣装2種というのもあって順当に亜美真美がそれぞれ着用することに決定。

2回目のユニットパートを挟み、最後のソロは『YOU往MY進!』(ホコリが舞うのでタオル回しは禁止)。『ジェミー』以上にわちゃわちゃ動き回っていて、ダンサーさんとの息のあったコンビネーションあり、ダンサーさんが激しいダンスを披露し亜美真美がそれを煽るパートあり、かと思えば亜美真美だけにスポットを当ててじっくり見せるパートありと、盛りだくさんで非常に楽しいステージでした。

曲が終わるとそのまま最後の挨拶へ。ここはあくまでステージ上でのトークなので、アイドルはこちら側をプロデューサーではなくファンとして扱います。ここもしっかりしてるなあと思いつつ、それが明言されるわけでも無いので、今こちら側が「プロデューサー」なのか「ファン」なのかいちいち忖度して演じないといけないこの構成は、改めて不親切に感じました。ただ、キャラクターの「アイドル」としての表情を直接見れること自体は非常に貴重な体験だと思うので、それは良いんですけどね。

そして最後の社長の挨拶も途中のトラブルに触れるものとなっており、そこの準備の徹底ぶりには重ね重ね感心しました。


・今後の展開について

今回で技術的な面はかなり極まっており、あとはイベント全体の演出・構成の改善に期待して次を待ちたいところではあるのですが、肝心の会場「DMM VR THEATER」が閉館してしまうため、しばらくは開催できないであろうことは残念です。

しかしながら、2018年末のニコ生とか、最近ではミリシタ感謝祭とかでもMR技術が活かされている感じはあるので、また何かしら別の形でこの試み自体は続けて行って欲しいです。

ちなみに、大規模なライブでMR的なことをメインでやるには、立体視でない映像だけで数時間持たせるのはきついとか、会場が大きすぎるとリアルタイムのコミュニケーションが活かしづらいとかで、まだまだ難しいと思うので、あくまで声優さんのライブと両輪で進めていただきたいところです。そもそもこの2つは全く別の魅力を持ったものなので。

今年は現実の765単独ライブも予定されていますし、スタマスもありますし、来年に向けてもまだ色々あるでしょうし、楽しみが多くて嬉しいなあ。


それではこの辺で。

消灯ですよ。