【シャニアニ】『シャイニーカラーズ第2章』がアンビエントアニメとして良すぎて整った(ネタバレ)【癒し】

2024年春のTV放送に先駆け、全3章構成で劇場公開の始まった『アイドルマスター シャイニーカラーズ』の第2章を観ました。ちなみに私の「シャイニーカラーズ」に対するスタンスは、ゲームは未プレイ、『スターリットシーズン』で一部のキャラクターには触れている、サブスク解禁で楽曲は一通り聴いているという感じです。

 

第1章の感想↓

 

第1章が正直微妙だったので大丈夫かと思いながら観に行きましたが、まず第5話のイルミネ回は普通に良かったです。ただそれ以上に6話で本作の楽しみ方に気付いてからが良すぎて、以降8話までかなり気持ち良く鑑賞することが出来ました。

 

それではここから具体的にどう良かったのかを順を追って書いていきます。

 

 

第5話

イルミネ回。ユニットメンバー同士の葛藤(実際は完全に灯織の一人相撲ですが)を乗り越え、団結し、ライブも成功!という、知らないなりに予想していた『シャイニーカラーズ』のアニメがようやく見れた感じがありました。

ライブシーンでも、練習で上手くいかなかった難しいフォーメーションに本番挑戦してどうなるか?という王道のサスペンスも盛り込まれており、普通に良い回だったと思います。

もちろん灯織の葛藤など取ってつけた感は否めないですし、これまでの回と同様ライブシーンは基本的に上手から映して、下手から映して、正面からグワ〜っと寄るぐらいしか見せ方のバリエーションが無いのはどうなんだろうという気はしますが、先述のフォーメーションもちゃんと見せていたので、充分なカタルシスはありました。

 

第6話〜第8話

第5話のイルミネ回で全ユニットのエピソードが描かれて、以降の第6話と第7話ではWINGとその顛末、第8話からはユニット合同ライブと事務所全体の話になっていきます。

WING周りの話については、やはりアイドル自身がどの程度のモチベーションで臨んでいるのかが結局分からないのと、そもそもWINGというイベント自体、最後までボンヤリしていて具体的にどういうものか分からずじまいだったので、なんか始まってなんか終わったという感じでした。

WING前を描いたドキュメンタリーと結果を交互に映す構成も正直混乱しましたし(イルミネも結局負けたのでしょうが、ちゃんと描写がなかったような?)、ドキュメンタリーも昔のNHKみたいな淡白さで、驚くほど盛り上がりは無かったです。朝からあんな番組見てたらすぐ2度寝しちゃいそう!

また全ユニットを描いていくことによって、個々のユニット回ですらそもそもボンヤリしていた話がさらに希釈され、6話以降はかなり抑揚の無いエピソードになっていたように思います。

 

抑揚の無い話の上で抑揚の無いふんわりした劇盤が延々と流れているのを見ていると、ふと「フィラー映像」っぽいなと思いました。

フィラー映像とは、主にTVの放送休止中に流れる美しい風景映像の上にふんわりした音楽が流れるアレです。基本的に意味を持たない映像ですが、だからこそ見ていて癒されたりよく眠れたりする人もいたりします。YouTubeとかによくある癒し動画みたいなのも同じような性質だと思いますが、ともかく本作シャニアニもその「フィラー映像」的なものと考えると、めちゃくちゃ良いのではないかと思い至りました。

 

ストーリーがどうだとか、演出がどうだとか、キャラクターがどうだとか考えていると物足りない部分が多々ありますが、そういうことを抜きにしてこの世界観に浸ればいいのだと考えると、本作の全てがちょうどいいのです。

 

抑揚の無い演出も逆に言えば過度に感動したりせず落ち着いて見られるということですし、基本的に物語としては最低限ちゃんと作られているので程よく興味も引かれます(退屈すぎたり無茶苦茶すぎたら落ち着いて観られません)。キャラクターの台詞も相手を否定するようなものはほとんど無い優しい世界なので(誰かが何かを提案してメンバーが「いいね!」と同意する会話が非常に多い)、その点でも安心して観ることができます。

 

何より劇盤が良くて、第1章の時点では「ふんわりした同じトーンの原盤が垂れ流されている」としか思えなかったのですが、逆にこの劇盤を主軸として観ていると、一定の間隔で流れるこの劇盤が非常に心地よく感じられました。

本作の劇盤のジャンルとしては「アンビエント・ミュージック(環境音楽)」ということになると思います。これはざっくり言うと雰囲気重視の音楽ですが、それは本作全体にも言えることであり、この「雰囲気」こそが本作の肝なのではないかと思いました。

 

本作はエンターテイメント作品というよりも、アンビエント・ミュージックがガンガンに流れまくるインスタレーションと言った方が近いと思います。少なくともそう考えて観ると、非常に心地よくこの「雰囲気」に浸ることができて、他にはなかなか無い鑑賞体験が得られると思いました。

 

その意味では劇場で観るのが音響的にも環境的にも1番良い気がします。今回の第2章は5話以降EDもアンビエントになり、ライブシーンもほとんど無い分アンビエント感がマシマシなので劇場での鑑賞が特にオススメです。

 

 

気になったところ

というわけで、第1章で気になっていたところは楽しみ方がわかったことで基本的に肯定的に感じられるようになりました。遡って第1章も評価が上がる気もします。

 

ただそれはそれとして気になるところもまだあって、特に大きいのがプロデューサーのキャラクターです。本作のプロデューサーはちゃんと仕事をとってきて、不手際があればしっかり謝って、根回しもできて、おどけた演技もできるという、かなり「完璧」な人物として描かれています。そして物語としてもそんな「完璧」なプロデューサーの計画通りに進んでいる感じがあって、どうにもアイドルが主体的に動いている印象が薄いのです。もともとアイドルたちの動機がほとんど描かれていないのもあり、全体としてはプロデューサーが上手いことアイドルたちを上手いことコントロールしているような構図にも見えて、その辺りは正直ちょっといけ好かない感じがありました。

他にも本作ではおじさんがアイドルを一方的に評価するみたいな場面がちょこちょこあって、今の時代的にはその辺り気持ち悪くも見えるかなと思います。

 

あとはアンビエント感の弊害かもしれませんが、一部のシーンが異様に深刻に見えたのが気になりました。WING後の全員揃ってのミーティング、絵面がガチの社員総会みたいになっているのも相まって、「WINGで結果を出せなかった諸君には、引退してもらう」とか言い出しそうで、無駄にハラハラしましたし、また最後にプロデューサーが真乃にセンター抜擢を伝えるシーンも、深刻すぎて「次のライブ、真乃だけ出られないんだ」とか言い出すんじゃないかと思ってしまいました。

 

 

まとめ

いわゆる「アイドルアニメ」を期待して本作を観るとやはり肩透かしを食らうと思いますし、シャニガチ勢からするとどう見えるのかはわかりませんが、ともかく個人的に今回の第2章はかなり楽しめました。第3章もダッシュで観に行きます!

 

 

それでは今回はこの辺で。

消灯ですよ。