【シャニアニ】シャニマス未プレイで観た『アイドルマスター シャイニーカラーズ 第1章』正直な感想(ネタバレ)

2024年春のTV放送に先駆け、全3幕構成で劇場公開の始まった『アイドルマスター シャイニーカラーズ』の第1章を観ました。

 

「シャイニーカラーズ」に対するスタンスは、ゲームは未プレイ、『スターリットシーズン』で一部のキャラクターには触れている、サブスク解禁で楽曲は一通り聴いているという感じです。

 

今年は『U149』、『ミリオンライブ !』とアイドルマスターのアニメが立て続けに公開・放送されていて、特に『ミリオンライブ !』が非常に良かったので、脚本も同じ加藤陽一氏だし本作『シャイニーカラーズ』も観ておこうと思い劇場に足を運んだ次第です。

 

それで実際この第1章を観た感想としては、正直ひたすらボンヤリしてるうえに、諸々上手くない部分が目立つなあという感じでした。

ただ全くつまらなかったというわけではなく、今後に期待できる兆しもあったので、以下良かったところ、気になったところを順に挙げていきます。

 

 

良かったところ

・第4話

第4話は普通に良かったです。最後がこの回だったおかげで第2章も観ようかなと思えました。

この回の主役である「放課後クライマックスガールズ(以下放クラ)」が出ている場面は全体的に他のユニットのシーンと比べて明るく、比較的動きもあるので、本作の中では1番観ていて楽しいユニットでした。

そして第2話、第3話とギャグ的に描かれていた、やたら泥臭い商店街の営業シーンがこの第4話でしっかり回収されていて、ここは普通に上手かったと思います。このように各話の積み重ねが回収されてカタルシスを産む作劇は同じ加藤陽一脚本のミリアニで存分に発揮されていて、その上手さの片鱗がここでようやく感じられました。

映像的にも、ショーのシーンで放クラが客席に降りてその場の奥行きを意識させた後、ステージの背後から怪人が現れ子供たちに「志村後ろ!」を促す演出など普通に感心しました。ショーの内容とリンクしたライブシーンも非常に盛り上がりましたし、4話は様々な要素がちゃんと噛み合っていたように思います。

 

逆に言えば1〜3話は諸々噛み合っていない印象だったのですが、そこまでの正直微妙な展開も今後の展開次第で遡って評価が上がる可能性もあるなと4話の作劇を見て感じました。

 

 

・3Dモデル

3D感はそれなりにありつつも、細かく作り込まれていましたし、この第1章の時点で服のバリエーションも複数あったりと、手がかかってるなと思いました。プロデューサーのビジュアルまで複数用意されていたのはなんか笑ってしまいましたが。

 

 

気になったところ

・顔のアップが多すぎる

本作では喋っているキャラクターがアップで映る場面が非常に多くなっています。喋っている人物を映すのは当然じゃないかと思うかもしれませんが、それだと「喋っている人物とその表情」以外の情報がほとんど得られないのです。もちろん表情を見せたいときなどアップが有効な場面もありますが、基本的にはもっと引きで映して細かい仕草からもキャラクターを表現できるようにしたり、喋ってる人越しに聞いている相手の反応を映したりして人物同士の関係性を表現するのが定石だと思いますが、本作はあまりそういう場面が見られません。ではキャラクターの表情の機微に全力を注いでいるからアップなのかといえばそんな感じもせず、正直表情のバリエーションもそこまで無かったように思いました。

顔のアップばかりだと画面が単調になってしまうというのもありますし、何よりユニットの関係性こそが重要な本作において、画面からユニットメンバー同士の関係性が読み取れないというのは流石にまずいんじゃないかと思いました。

それに加えて本作では基本律儀にメンバーが1人ずつ順番に喋っていくので、全体的に「会話をしている」というより「キャラクターが順番に喋っているなあ」という印象が強かったです。

 

 

・構成も画面も単調

イレギュラーな1話は置いておいて、2話以降は概ね「ユニットメンバーが順番に喋る」→「プロデューサーがやってきて仕事の説明をして、リーダーの顔アップか空の画で締め」→「仕事でトラブルが起こるがなんとか解決」→「ライブシーン」という同じ流れになっています。

フォーマットが決まっているのが必ずしも悪いわけではないですが、先述の通り顔のアップが多いうえ、座ったり立ったりしながら喋っているだけの時間がかなり多いので、絵面的にも動きが無く変わり映えがしないため、どうしても退屈に感じてしまいました。

作劇的になんとかドラマを作ってライブシーンを盛り上げようという努力も感じられるのですが、アイドルたちがどの程度のモチベーションで活動をしているのかよく分からないので、トラブルに直面してもいまいち盛り上がりに欠けるのは否めません(4話はその点上手くいっていたと思います)。ライブシーンの見せ方もだいぶ淡白で、もっとけれん味があればドラマパートの淡白さと対比になったかもしれませんが、現状淡々と進んで淡々と終わる感じで、これも退屈に感じられる要因じゃないかと思います。

 

 

・どこに向かっているか分からない

まず現時点でキャラクター説明がほとんどなされていないですが、その手法自体が悪いということは無いと思います。個々のキャラクターの説明を行なっていくとそれだけで尺が無くなってしまうので、本作では「WING」という物語全体の全体の目標を設定してキャラクターの説明は思い切ってカットしてしまうという選択をしたのではないかと思いました。

しかし、第1章を見ただけではこの「WING」なるものが何をやるのか、どういうルールなのか、出たらどうなるのかなどなど、具体的にどういったものなのかよく分からないので(台詞で説明はあったと思いますが「新人の登竜門」以外はよく分かりませんでした)、結果的にはキャラクターがボンヤリしてるうえに物語もボンヤリという、全てがボンヤリした話になってしまっている気がします。

一応キャラクターの動機に関しては一話でみんなボンヤリ空を見上げたりして、それぞれに「何者かになりたい」っぽい雰囲気は感じましたが、ならアイドルになった時点で「何者か」にはなっているわけで、やはり物語全体の推進力にはならないと思います。あと余談ですがみんな揃ってボンヤリ空を見上げる割に見ている空が映らないので、よほど特殊な天変地異でも起こっているのかと気になってしまいました。

 

 

・劇盤が垂れ流し

常に劇盤が垂れ流しなのも気になりました。劇盤はこだわって様々なバリエーションを用意しているようですが、楽しいシーンも悲しいシーンも感動的なシーンも音楽のトーンがふんわりした感じで変わらないので、メリハリが無く、見ていてどういう気持ちになればよいか正直分からなかったです。

 

 

・フォントがダサい

タイトルや曲名のフォントがどうしたんだと思うほどダサかったです。ほぼベタ打ちの白ゴシックで、あまりに工夫が無さすぎて心配になりました。シャニはもっとオシャレなイメージにしなくていいのだろうか……?

 

 

まとめ

総合的に見ると諸々やりたいことが噛み合ってない印象でした。例えば脚本の加藤陽一さんは明朗快活な王道エンタメが上手い方だと思いますが、全体の演出としてはどちらかといえば内省的な方向を指向していて、しかし細かい感情の機微を描くには3Dモデルだと難しいといった具合に、それぞれの良さが相殺されてしまっていたのではないかと思います。

それで言うと本作に登場するユニットの中で放クラ絡みのシーンだけは加藤脚本の明るさがマッチしていて、比較的動きもあることから3Dモデルも活きていたりと、4話がこの第1章の中では抜けた面白さになっていたのはそのあたりが理由じゃないかと思います。

それ以外の場面ではあまり動きも無く、これならば手描きアニメの方が表情が出る分良かったのではと思ってしまいました。もちろんライブシーンは3Dじゃないと難しいかったとは思いますし、後半に見せ場があるかもしれませんが、それを差し引いても現状手描きでよかったのでは感は否めないと思います。

 

というわけで結構厳しいことは書いてきましたが、4話の感想で触れたようにまだ後半にかけて前半の要素が回収されて遡って評価が上がる可能性はあるとは思いました。

ただ現状の出来としては微妙と言わざるを得ないと思います。TV放映で観てたら途中離脱してたかもしれないので、その意味では劇場で観れてよかったかもしれません。

 

そしてこの感想をダラダラ書いているうちに第2章が始まってしまったので、ここまで書いてきたことが的外れになっている可能性もありますし、早いとこ観にいくかと思った次第です。

 

 

とりあえず今回はこの辺で。

消灯ですよ。