『コカイン・ベア』観ました。
コカインを食べて凶暴化したクマが起こす騒動を描く。1985年にアメリカ合衆国ジョージア州でツキノワグマが麻薬密売業者が投棄した大量のコカインを摂取し、薬物の過剰摂取により死亡した実際の事件をモチーフにしている。
引用:Wikipedia
そもそもの企画もさることながら、もっともらしい熊の対処法が引用されるが引用元が「Wikipedia」、最初にコカイン・ベアに襲われるカップルの名前が「オラフ」と「エルサ」など、冒頭からふざけ倒している本作。くだらないギャグやゴア描写もてんこ盛りで、気楽に楽しめるバカ映画である一方、作品としては非常に丁寧に作られていている秀作でもありました。
本作は様々な事情からコカイン・ベアがうろつく森へ集まった人たちの群像劇となっているのですが、まずどのキャラクターも非常に魅力的。
中学生の娘とその友人を探す母、コカインを回収しにきたギャングと妻を失い失意のボスの息子、ギャングを追う犬好きの警官、野生動物管理官に色気出しまくりの森林警備隊のおばさん、ズッコケチンピラ3人組などなど、割と多くのキャラクターが登場するのですが(もちろん熊にいっぱい殺させるため)、短いエピソードの中でも皆キャラが立っていて、とても手際の良い脚本でした。
それぞれのキャラクターが出会って起こる群像劇的な化学反応もしっかり見せてくれますし、全てのキャラクターが魅力的な分、いつ誰が死ぬかも意外性を持って見ることができました。良い人/悪い人関係なく、唐突に死んでいくのも気持ちがいい。
演出的にも上下の位置関係が印象的で、上に登ったやつは大体死ぬというのを印象づけた上で……というクライマックスもとても綺麗にできていたと思います。
もちろん細かい展開にツッコミ出したらキリが無いのですが、そのような整合性はどうでもいいほど、作劇の上手さが際立っていました。
60点を期待して行ったら80点のものを見せてくれたような、そんな秀作でした。おススメ。
それではこの辺で。
消灯ですよ。