【映画】何も考えずに楽しめる、考え抜かれた傑作『RRR』感想

『バーフバリ』のS・S・ラージャマウリ監督の最新作『RRR』観ました。

 

舞台はイギリス植民地時代のインド。英国軍に攫われた少女を救おうと立ち上がるビーム、大義のために英国警察に潜入するラーマ、対立する立場の2人は互いの素性を知らないまま親友となるのだが……。

 

『バーフバリ』2部作はまさに血湧き肉躍る傑作エンターテイメントでしたが、今作『RRR』もまたそれに勝るとも劣らぬ傑作でした。最初から最後まで面白さと驚きがダレることなく詰まっていて、3時間という上映時間にも長さを全く感じませんでした。

 

全編で繰り広げられるケレン味溢れるアクションが印象的ですが、そのどれもが象徴的な意味を持っていたり、事前にしっかり布石が置かれていたり、その迫力の裏で非常に緻密に作り上げられているため、物語とアクションの相乗効果で何百倍もの感動を生み出しています。

 

まず分かりやすいのが「火」と「水」のモチーフ。ラーマは火、ビームは水というイメージがこれでもかと強調されていて、2人の関係がビジュアル的にも非常に分かりやすく提示されています。例えば2人の出会いのシーンでは列車事故で川の上に火が上がり、火と水の融合を感じさせるその中でガッチリ握手!という、ビジュアルから既に固い友情を感じさせる描写になっています。また互いの素性を知り、対立する場面ではビームが水の溢れるホース、ラーマが火を使って戦う悲しくも熱いシーンになっていますし、終盤では火矢で戦うラーマが活躍していて「ビームはどこだろう?」と思ってると、ラーマの矢が追った槍を川の中からヌッと現れたビームが掴んで戦い始めるあの流れは滅茶苦茶アガりました。

 

ラーマとビームでは乗り物も面白くて、都会派のラーマが馬、野生児のビームがバイクという、一見ミスマッチに思われる組み合わせになっていますが、それがかえって2人のつながりを感じさせて上手いなと思いました。

 

また、本作でも特にびっくりする肩車脱獄シーン。序盤にラーマとビームが友情を育むモンタージュで肩車でスクワットしていて、なんだこのシーンと笑っていたのですが、件の脱獄シーンに至って「こんな回収のされ方が!」と2段回で爆笑しました。しかも爆笑しながら燃えるシーンにもなっていて、離れ離れになった2人がついに再び手を結ぶという展開で、それがビジュアル的に一目で分かるのがあの合体!なのです。

 

今作は反体制的な構図であるため、王の話であるバーフバリよりもカタルシスが強くて、抑圧→反撃の展開が丁寧に繰り返され、最後に弾丸の件を言い返す展開なんて熱くならないわけがありません。

 

一方バーフバリに比べると女性の活躍があまりなかったのはちょっと残念でしたが、今回は時間が足りなかったのかなという気がします(とはいえビームといい仲になる白人女性は少々都合良すぎる気もしますが)。3時間は短い。提督の残虐妻は良かったです。

 

唯一残念だったのが近くで上映しているところがなくてIMAXで観れなかったこと。クソデカスクリーンで観たかった……。

 

 

それではこの辺で。

消灯ですよ。