【映画】全てが上手い『ウエスト・サイド・ストーリー』感想(ネタバレ)

スティーブン・スピルバーグ監督『ウエスト・サイド・ストーリー』観ました。

 

 

古典ブロードウェイ・ミュージカル作品の2度目の映画化。もちろん存在は知りつつも、ちゃんと観たのは今回はじめてだったのですが、全てが良過ぎてひっくり返りました。

 

廃墟を捉え空撮に始まり、鉄球に寄りながら不穏な予感を示しつつ、突如地面が開いて少年たちが出てくるオープニングから驚きとワクワクが止まらず、その感覚が最後に到るまで途切れることがありませんでした。本当に1カット1カット工夫が凝らされていて、ルックも非常に美しく、映像が良過ぎて序盤はもはやお話が入ってきませんでした。細かくあげれば映画全体あるのできりがないのですが、オープニングで音楽に合わせて車が3台止まるところとか、アニータの家で下がっているカラフルな布の使い方とか、留置場で小物を上手く使った『クラプキ巡査どの』とか、全てが圧巻のダンスパーティとか、もう全てがよくでき過ぎていて途中から「映画が上手すぎる」以外の感想が出なくなってしまいました。

 

もともとかなり前の作品でありながら、今改めて映画化する意味もしっかり考えられていて、人種問題であったり、ジェンダー問題であったり、男性コミュニティの危うさであったり、もちろん今作でのチューニングもあるのでしょうが、そもそもの構造の強さがあるのかなあと思いました。最初の映画版や舞台版もいずれ観てみたいです。

 

ただその流れで、主演のアンセル・エルゴートが未成年への性的暴行疑惑が出てることはやはり気になってしまうところです。問題であることは間違いないですが、現状犯罪となるようなレベルの話ではなさそうで、何ともグレーでもやもやするところではあります。映画自体の内容としても、ちょうどそういった危うさを含むものではありますし、観るのがキツイという気持ちも分かります。これに関しては簡単に答えを出せる問題ではないので、モヤモヤし続けるしかないのかなと思います。とりあえず社会が少しでもマシになることを願うばかりです。

 

ともかく映画としては文句のつけようがない作品なので、まず観て損はないと思います。個人的には今年暫定ベスト。

 

 

それではこの辺で。

消灯ですよ。