最近観た映画・ドラマ感想まとめ

最近観た映画・ドラマの感想をざっくり書いていきます。

 

犬王


湯浅政明監督最新映画。南北朝から室町期に実在した能楽師・犬王をモデルにしたロックミュージカル作品。そもそも歴史の知識が非常に薄いのでどこまで理解できているかは分からないが、基本的には普通に楽しめた。ミュージカルシーンは湯浅監督ならではの楽しさで、異形の犬王の動きも良かったのだが、終盤で芸能と権力の関係が浮かび上がるに至って、遡って犬王と盲目の琵琶法師・友魚のパフォーマンスの尊さが感じられて評価が一気に上がった。

 

シン・ウルトラマン

庵野秀明脚本・樋口真嗣監督の『シン・ゴジラ』チームが手掛ける初代『ウルトラマン』のリブート映画。個人的にウルトラマンにそこまで思い入れが無く、初代は全く未見で本作を観たが、割と普通に楽しめた。ウルトラマンの奇妙な佇まいをはじめ、ヘンテコなだけのカメラワーク、唐突な展開など、「分からないけどまあ何かのオマージュだろうし、楽しそうにやってていいんじゃない?」と思いながら観た。オールドファン向けに煮詰まった感じの表現も正直ちょっと好きで、非常に奇妙なバランスの作品ではあるが、見どころはあるし、興味深い作品ではあると思う。

 

トップガン マーヴェリック

1986年のトム・クルーズ主演映画『トップガン』の36年ぶりの続編(本来は2年前に公開予定だったが、コロナで今年まで延期された)。前作は観ていなかったため今回のタイミングで初めて観たが、特に1作目を知らなくても問題ないと思う。「かつて素晴らしい功績を残した天才の異端児が、時を経て若者を指導する立場に回る」という、誰であれ理解できる分かりやすいストーリーを、これ以上ないほど丁寧に、観客の期待に応える形で実現できていた。中盤に至るまで作戦の内容と超えるべき障壁をしっかり繰り返し説明して、そして本番どうなるか?というシンプルな作りで一貫しているのが良い。人物描写も、ちょっとしたセリフと行動だけで最大限魅力的に描けていて、理想的なエンタメ作品であり「理想の続編」の具現化と言える(同じ構造で〇〇年ぶりの続編映画が無限に作れる)。その上で本作を特別なものにしているのが、リアルに戦闘機を飛ばし、役者もちゃんと乗ったうえで演技をしているのがまず一つ。実際に戦闘機に乗っているような映像と音響はIMAXで観るのがベスト(スクリーンがデカいのはもちろん、通常の上映形態より映る範囲が広い)。そして何よりトム・クルーズの存在感が、この大雑把な物語のリアリティを担保している。トムは偉大。あとエースコンバットをやりたくなる。

 

ピースメイカ

2021年公開、ジェームズ・ガン監督『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』のスピンオフドラマ。ゴリゴリの保守かつマッチョな人殺し「ピースメイカー」が、はみ出し者チームと共に地球の危機に立ち向かう。元の映画ではなかなかに嫌なやつとして描かれていて、そいつ主演のドラマが作られるというのがまず驚きだが、観てみれば意図がよく分かる。「差別主義者のクソ野郎」も、もとからそういう人間だったわけではないし、魅力的な部分だってある。そんなやつのダメさをしっかり描いたうえで、そこから変わっていく可能性を示す、ジェームズ・ガンならではの優しい視線を感じる傑作だった。もちろんガン監督なので、基本的にはやってることも言ってることもしょうもないギャグ満載で、最後の最後まで本当に楽しい。

 

 

ここからさらに『オビ=ワン』『ミズ・マーベル』『ザ・ボーイズ(新シリーズ)』が一気始まるので大変。ドラマ地獄。

 

 

それでは今回はこの辺で。

消灯ですよ。