【シンデレラHNY】新春ライブDAY1感想

2021年1月9日、10日に無観客配信で開催された『THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Broadcast & LIVE Happy New Yell !!!』DAY1観ました。

もともとアイマスとしてはコロナ禍以降、初めて有観客で行われる予定のライブということで気になっていたのですが、直前の感染拡大に伴い今回は無観客の開催となってしまいました。

とはいえ直前の変更ゆえ、有観客でどういうことをやろうとしていたのかは垣間見れるだろうと思い、今後のアイマスライブの行方を占う意味でとりあえずDAY1のみ鑑賞しました。

ちなみにアイマスの配信ライブでは2020年10月31日、11月1日に開催された『THE IDOLM@STER SHINY COLORS MUSIC DAWN』が先にありますが、シャイニーカラーズは追ってないし、コンテンツの性質や体制的に自分が主に追っている765・ミリオンとはそこまで繋がらないかなと思ってそちらは未見です。今思えば見ておいた方が良かった気もしますが。


・総評

前置きはこれぐらいにして、実際にライブを観た感想ですが、思ったよりもずっと楽しめました。

配信向けの諸々の施策はありましたが、基本的にはこれまでのライブと同じ構成だったため、感覚としてはこれまでやってきたライブを家で観てるだけという感じで、その点はスムーズに入っていけました。

もちろん、配信になったことで有観客ライブから減じるものも諸々あるのですが、その点については後述します。ただ、かつての有観客ライブを観る感覚を再現できている時点で、試みとしては十分成功と言えるでしょう。



・ライブ構成・セトリについて

というわけでライブ本編についてですが、ポップス→アゲ曲→バラード・エモ→アゲ曲という、もはや定番のセトリ構成かつ、ARは置いておいて、余計な演出も抑えられていて安心して観ることができました。「和」コンセプトの安定した新春ライブということで765の『初星演舞』を連想しましたし、実際下敷きになっている気がします(それか新春ライブと言われて思いつくコンセプトがそれしか無いだけか)。

特に前半のポップスパートは個人的にツボで、この前のポップス公演を唄った7th幕張でやってくれなかった、自分がイメージする「ポップス」をまとめて聴かせてくれたので、知らない曲も多かったですが、とても楽しめました。知らない曲の中でも特に気に入った『オレンジタイム』なんかはその場で音源をDLしたりしました。そんなこともできるのは配信の利点。



・良かった曲について

続いて個別のステージについての感想ですが、ざっくり4パートある中からそれぞれ1曲ずつ挙げていきます。


まず最初のパートからは『Sing the Prologue♪(Long Intro Ver.)』。

この曲で特に気になったのが遊佐こずえ役の花谷麻妃さん。ステージを見ていて、「すごいダンスが安定して上手い人がいるなあ」と思ったのが花谷さんでした。動きが非常に滑らかで、メリハリも効いていて自然と目がいくダンスだったのです。不勉強ながら花谷さんを知ったのは今回が初めてで、遊佐こずえに声が付いていたことも「そういえばそうだったか…」程度の認識だったので、後で調べてもともと実際にアイドルとして活動されていたということを知り、そのダンスの上手さにも納得。今後もちょっと気にして行こうと思いました。


第2パートからは『Sunshine See May』。

ここはもう単純に「鈴木みのりさん歌うまっ」とびっくりすることしきりでした。藤原肇役の鈴木みのりさんは、歌手としてもバリバリ活躍されているので当然といえば当然なのですが、パフォーマンスをしっかり見るのはこれが初めてだったので、一聴して「上手い」と分かるその歌声にただ聴き惚れていました。後半のソロ『あらかねの器』も、あの椎名豪曲を乗りこなしていてまあ「すごかった」の一語につきます。対する依田芳乃役の高田さんは完全にキャラ声に振っていて、そのバランスも面白かったです。


第3パートからは『世界滅亡 or KISS(Long Intro Ver.)』。

これはもう観た人なら言わずもがなですが、あのやたら長大で壮大な曲をやりきった喜多日菜子役の深川さんがすごかった。AR演出も、それまでは曲にまつわるモチーフがふわふわ浮いてるぐらいのものだったのが、急に展開や振りに合わせたものになって、力の入りようが伺えます。会場に観客がいたら、しばらくスタンディングオベーションが鳴り止まなかったでしょう。


最後のパートはやっぱり『OTAHEN アンセム』。

ひと昔前のアイマスライブなら大ブーイングを受けていたであろう、地下アイドル由来のコールのオンパレード。歌詞もまあひどいしうんこだし、曲の間ずっと爆笑していました。最近は「シンデレラのライブはLVとかで何やってるか把握するぐらいでいいかな」と思っていましたが、これのコールをやるためだけに現地狙ってもいいかなと思えるほどの破壊力でした。この後の『絶対特権主張しますっ!(Long Intro Ver.)』まで余波で面白くなっていました。全くひどい曲だ。そしてそれをやり切る星希さんもすごい。



・気になった点/今後の配信ライブに望むこと

そんなこんなで基本的にはすっかり楽しんだわけですが、気になるところもやはりちらほらありました。

これはもう仕方のないことではあるのですが、有観客ライブと比べると、体験としてはやはり劣ってしまうというのは間違い無いでしょう。

まずライブの楽しさとはどこにあるかを考えると、大きくステージそのものによるものと、大勢が集まって皆で大きい音を聴いて、声を出したり体を動かしたりして一体感を得たりする「場」によるものがあると思います。

前者のステージについては、今回の配信ライブでも、有観客ライブのそれと同等の楽しさを表現できていたと思います。

しかし、後者の「場」としての楽しさは、実際に集まることができない以上、どうしても大きく減じてしまいます。そして、皆でコールをしたり、キャラに合わせたサイリウムを振ったりといった、その「場」としての楽しさこそが魅力であるアイマスライブにとって、それは大きなマイナスと言わざるをえないでしょう。

もちろん、今回の配信もその点をカバーする施策は色々と行われていましたが、やはり「場」としての楽しさを再現するには至っていなかったと思います。

選んだ色のサイリウムがスクリーンに反映されたり、打ったコメントが流れたりするのも、ラグがあったり、実際に体を動かしたり声を出したりするような身体性が伴わないため、その画面を見てもイマイチ実感はわきません。

それから地域ごとに分かれたコメントを表示するのも、「ツアーのようにうんぬんかんぬん」みたいな説明がなされていましたが、絵面は全く変わらないし、ライブ時のコメントに地域性などさして出るわけもなく、正直全く上手くいってなかったと思います。こういう理屈だけで考えた頭でっかちな演出は、これまでのライブでもよく見られるいつもの感じですが。

またコメント周りの頭でっかちな演出で言うと、「最後の曲」が終わってキャストが無言で退場した後、「いつもならアンコールするくだりだけど、今日はどうするんだろう?」→「ああ、コメントでやるのね」と、演出意図を忖度しながらコメントでアンコールに入る、大変シュールなくだりがありました。これに近い空気をミリオン6thの「CGの客席が映る」→「あっ歓声あげるのか」って歓声をあげるくだりでも感じたのですが、作りたい画(今回なら「アンコール」の文字が並ぶ画面)があるのは分かるんですけど、そのために忖度を強要する形になっているのは本末転倒な気が。

ただそれもこれも、本来予定されていた有観客の状態で、その場の反応込みあれば、拍手とかで間が埋められるのでそこまで違和感は目立たなかったかもしれません。まあこんな状況なんだから、どのパターンでも違和感ないように準備しておかないのかとも思いますが、一応用意した上でのコレと言う可能性も高い気がします。


配信用の演出では、もうひとつARを使ったものがありました。

これは先にシンデレラの24時間配信でも披露された演出で、今回も人のいない客席を埋めて賑やかすのには役に立っていましたし、曲によってはしっかり演出たりえていたと思います。

ただ、映像にアニメーションを重ねるという意味では、これまでのライブでもスクリーン上でダンスに合わせてハートが出たり、凝ったフレームを付けたり、背景を映したスクリーンの前にキャストを立たせたりなどして既にやってきたことで、配信じゃないとできないというわけでもないでしょう。

今回のARも、概ね曲に関連するモチーフがふわふわ浮いてる程度のもので、正直無くてもさして問題ないものでしたし、ARを見せるためだけに引の画が増えて、せっかくの配信なのにキャストが見えなくなっていたりなど、一部の曲を除いて、あまり使いこなせていない印象でした。

ARがある程度上手くいっていた一部の曲、具体的には『世界滅亡 or KISS』『OTAHENアンセム』の2曲ですが、これにしたって、今までなら2Dのアニメーションを使ってスクリーン上でやっていたことを3Dでやっただけとも言えるので、ARならではかといえば微妙なところです。

そもそも現実にバーチャルなものを重ねるAR的試みとしては、その極地であるアイマスMRというものを既にやっているのです。つまりそこを掘っても最終的にはMR的な「キャラクターが見れるステージ」にたどり着いてしまうので、生身の声優さんが出演するライブに対する演出としては、あまり有効ではない気がします。

これは今回の配信に限ったことではないですが、最近はこうステージ側の完成度を高めようと躍起になるあまり、「場」としての楽しさを疎かにしている気がします。というか、ステージ側だけで完成されすぎてしまうと、観客側の付け入る隙が無くなって「場」としての楽しさはどうしても減じてしまうので、ことアイマスライブにおいては、作り込みよりも「生」感を大事にする方向で行って欲しいものです。先ほども書きましたが、観客を演出を進めるための道具として扱っているところも、ちょこちょこ出てきている気もしますので。


「配信ならでは」という意味では、ここまで挙げたような有観客ライブで得られる感覚を再現しようとする試みよりは、もっとひとりひとりの体験に根差したような試みの方がいいのではなんてことも、今回の配信を経て思いました。

例えばカメラを自由に変えられたり、ARの演出とかもある程度コントロールできるようにしたり、みんなで「わー!」っとやるよりは、そうした「自分だけのライブ体験」みたいなものを追求できるようにする方がいいような気がします。

そうすればその後出るであろうパッケージ版との差別化にもなって、生で見る意義も増してくるでしょうし、他の人の視点を見る楽しみや、翻って自分の見たライブの特別感も上がったりするかもしれません。何よりアイドルマスターはそもそもそうやって自分だけのステージを作り上げるゲームなわけですから、むしろそっちの方向がお誂え向きじゃないでしょうか。システム構築とかは大変そうですが、実現すれば唯一無二の配信ライブになれる気がします。



...いつの間にか今回ライブの感想から、未来の話に飛んでしまいましたが、最初にも述べたとおり、総じて今回の配信ライブはとても楽しめました。ただ1日目でお腹いっぱいになりすぎたので、2日目は観ていません(デレのライブは最近ずっとこんな感じ)。

苦言めいたこともそこそこ書きましたが、ライブはそういうことを書いたり考えたりするのも含めて毎回楽しんでいるので、今回のライブで久々にできて楽しかったですし、何はともあれライブをやってくれたのは本当にありがたいことです。

願わくば再び前のように大勢集まってライブができるようになってほしいですが、まあ1番早くても来年になってしまうと思うので、それまでに今回のような配信も含め、いろんな形の楽しみが増えれば良いなと思います。今狙ってる?のは765ASのアコースティックライブです(はじめから声を出さないようなコンセプトのものなら、この状況でも安心して楽しめると思うので)。



ライブの感想を書くのが久々すぎて、なんか散文的になってしまいましたが、今回はこの辺で。



消灯ですよ。