【ミリオン6th】SSA追加公演2日目感想——演出の押し売り、やめてもらえます?

THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 6thLIVE UNI-ON@IR!!!! SPECIAL」2日目はLVで鑑賞しました。(初日感想はこちら

初日は割と普通に楽しめた一方「もうあの珍味は味わえないのか...」と、地方公演の珍妙な演出たちを懐かしんだりもしてたのですが、この2日目は「お前らが本当に食いたかったのはこれだろ?」と言わんばかりの珍味のフルコースで、まさに「UNI-ON@IR!!!!」の面目躍如と言える公演に仕上がっていました。

ガワの話は初日の感想でだいたいやったので、早速「UNI-ON@IR!!!!」の本質である「振り返り」をユニットごとにやっていきます。


・4 Luxury

みんな大好き「あの」ユニットがトップバッター。新カバーを引っさげ、ユニットコラボもパート中盤に入れ込み、もちろん最後の『花ざかりWeekend✿』では、仙台に引き続き伝家の宝刀「サプライズ的に演者が出て来てワーワー」をやってました。ただ、今回の追加公演は初日から伝家の宝刀抜きまくってて、直前にユニットコラボもやってたのでちょっと慣れてしまった感もありましたが、会場の空気は持っていっていたと思います。


夜想令嬢 -GRAC&E NOCTURNE-

みんな大好きユニットその2。絶対に笑ってはいけない「忙しい人のための」ミュージカルが帰って来た!福岡公演の演出・構成をそのままに、つまりは名乗ってないのに名前で呼び合ったり、急に命の危機に瀕したり、急に戦い始めたり、急に一人で語り出したり(今回はその前に辻斬りも追加!)といった、繋がりを欠いた「良い場面」の羅列がまた観れるわけです。

前回福岡現地で観た時はなんだか辛くなってしまいましたが、今回LVで観たらやっぱり楽しかったので、これはまさにかの喜劇王チャップリンの名言「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇」を実感できるステージだったということでしょう。

先述の「辻斬り」含め、序盤のクリスの身なりを説明する台詞とか、「そっちは行き止まりだぞ!(舞台上は行き止まりじゃない)」の台詞が無くなってたとか、ちょこちょこ変化はあった気がしますが、根本の構成が同じなので、前回と変わらず面白かったです。

ちらっとパンフレットを読んだら、立花子さんが全くごもっともな不安を示されていて、そこで改めてこう言うのも憚られはしますが、やっぱりこのパートは舞台としてもミュージカルとしても破綻していると思いました。でも、それが妙にクセになっている自分もいる...。


CharlotteCharlotte

初日でも書いた通りプリンセス組は初見で、シャルシャロは一見珍味になどなりようもないユニットだと思っていましたが、ここでもやってくれました。

『ミラージュ・ミラー』は照明演出も相まって普通に良かったのですが、問題は続く『魔法をかけて!(Princess Magic ver.)』。まず、既にお姫様然とした2人が「お姫様になって王子様と巡り合いたい」という歌を歌うことに若干の違和感を感じる中、突如出現するのは王子様…ではなくタップダンサー!JPBに引き続き、燕尾服に身を包んだ紳士たちは「王子様」と呼ぶには微妙に、しかし決定的にイメージが違いますし、正直タップダンス自体も曲にあまり合っておらず「これは一体何の何なんだ?」感が凄かったです。

そんな流れだったので、『だってあなたはプリンセス』で夜想令嬢が箱を伴って出てきたとき「これはシャルシャロを箱に閉じ込めて、アレクサンドラが剣でブッ刺す大脱出マジックが始まるんだな!」と一瞬思ったんですが、さすがにそんなことはなかったです。


・EScape

この珍味な流れの中、当然EScapeでは福岡公演で披露された「折角の発光衣装が背後のスクリーンに流れる映像に紛れて全然映えない演出」を期待してしまうわけです。初日にステージセットを見た時から、密かに「両端の2階バルコニー部分(丁度スクリーンを背にできる)でアレやってくれるんだろうなあ」と期待していたのですが、蓋を開けてみれば発光回数自体少なくなってて、発光パートとかも普通に映えるものになってしまってました(変な言い方)。

発光回数に関しては、技術的な諸々(遠隔から手動になったとか)の影響もあったと思われるので置いといて、主に発光してた『Melty Fantasia』では、間奏中に度々暗転を挟んで、しっかり光が映えるようになっていたのが嬉しいやら寂しいやら。他の演出で言えば『I.D~EScape from Utopia~』での行進シーンもかなり様になっていましたし(花道がある構造がちゃんと活かされてた唯一の演出かも。他はただ移動するだけだったし)、なんだかんだ地方公演からのブラッシュアップ度では、私が観た中で一番かもしれません。

ただ唯一『LOST』ラスト、絵柄再現まで手持ち無沙汰でぶらぶらするやつは変わらずやってくれた(LVでもがっつり映してくれた)ので、ちょっとホッとしました。


・STAR ELEMENTS

この珍味のフルコースの中、唯一真っ当にステージを見せてくれたユニット…なんですけど、このユニットが最後でなかったという時点で「サプライズ的に演者が出て来てワーワー」「アゲ曲連打締め」といった、「サプライズ的にやろうとしてるけど毎回それなのでむしろ単調になってる例の構成」になるんだろうなあということが容易に想像できてしまって、少しゲンナリしてしまったところもあります。


・ピコピコプラネッツ

トリとなったこのユニットも、仙台公演と演出・構成基本的に同じでした。となれば勿論見所は『スマイル体操』での複雑怪奇な振り付け講習となるわけです。仙台で2度もやってて、カバーの存在も割れてる中わざわざ曲を隠す必要もなかろうに、今回もなぜか律儀に曲を隠しビートだけで超長い振り付け講習をやっていました。サプライズがあるわけでもないし、まず1番を通しで歌った後、インターバルを設けて歌詞と一緒に振り付けをやるとかの方が五億倍分かりやすいのに。一応、1番・ラスサビと2番で歌詞が少し違うと言うのがありますが、どっちかの歌詞に合わせて振り付けをやった上で「歌詞が変わっても振り付けは同じだよ」とか言えば解決することですし、少なくとも現状の構成よりは混乱しないと思います。仮にリアル幼年期があれを見たとして、まずついていけなかったんじゃないでしょうか。

そして問題の『フェスタ・イルミネーション』。これは多分多くの人が作り手のドヤ感は感じていて、そこを許容できるか否かが分かれ道だと思いますが、個人的には「トンチキなコンセプトとか珍妙な演出で結構な期間引っ張ってきたオチがこれ!?」とイラッとしたのが正直なところです。

実際見た目の派手さと着地のドヤ感で誤魔化してはいますが、これまでやってきた「テレビ」だとか「ユニット」みたいな要素を全部放り出してて、そういう意味ではオチとして特に「上手く」はない気がしました。



…とまあ、各ユニット一通り振り返ってみましたが、結局演出やら構成やらガワのことばっかになってしまいました。本当は素人がそんなことをいちいち気にしていてもしょうがないんですが、どうしてもそっちに気がいってしまうぐらい、そういうガワの占める割合が高いライブだったのは確かじゃないでしょうか。

「もっと演者さんのパフォーマンスを見ろよ」と言われればその通りなのですが、例えば金ピカでゴリゴリに装飾が入った皿にちょこんと乗ったお造りを食べて、印象に残るのは十中八九刺身の味より皿の方でしょう?今回のライブツアーはまさにそんな感じで、終始「演出」の圧ばかりが前に出ていた印象です。

ここまで書いてきた珍味演出は言わずもがな、ユニット再現の衣装もそうですし、今回だと曲中に急に出現する他ユニットや、何より「テレビ」というコンセプト。

それぞれひとつだけでも十分味が濃い演出をいくつも重ねていくというのは、シンデレラ4thから度々行われていますが、それを見るたびにふと思ってしまうのが「演者を信頼してないんじゃないの?」ということです。ひいてはその演者を観に来ている我々ファン(プロデューサー)をバカにしてるんじゃないかとも。

こういったライブ演出というものは、多くの場合そのステージをより良く見せるために行われると思います。裏を返せば、演出が多ければ多いほど、元となる演者のパフォーマンスに不安を感じてるとも取れるんじゃないでしょうか。

もちろん、歌やダンスが本業ではない声優さんにそこまでの負荷をかけるのはどうかと思いますし、ある程度演出によるカバーは必要だと思います。しかし、そこで足りない部分を補うのは演出とかよりもまず、その演者さんに魅力を感じ会場まで足を運んだファン(プロデューサー)なんじゃないでしょうか。

むしろ積極的に欠けを埋めたいという心理がサイリウムやコールといった「応援」になっている側面だってあるわけで、そういう「足りない部分」は(ある程度のラインまで行ってるのは前提として)「魅力」でこそあれ「補強すべき弱点」ではないと思います。

それなのに最近は「この刺身味しないっしょ?だからマヨネーズぶっかけといたわ。みんなマヨネーズ好きでしょ?」みたいな無神経で押し付けがましい演出が度々見られて、その度に「いや、そのあんたの言う味のしない刺身を食いに来てるし(そもそも味あるし)、味付けするにも自分でやるわ」といったことを思ってしまうわけです。

そういう「演出の押し売り」みたいなものがこのツアーでは特に目立っていて、例えば美咲ちゃんの「振り返り」映像での美咲ちゃんの背後からCGの客席を映した映像。あれなんかは「お前らここで盛り上がるだろ?盛り上がれよ!」と言っているようなもので、似たものでも演者さんと観客で行われるのは一種のコミュニケーションですが、この映像はCGの観客も相まって、演出の頭の中にある光景を再現するためだけにやらされてる感がすごかったです。

それから例の「振り返り映像」。これは導入からして「見たくなっちゃいませんか〜?」と、大変押し付けがましいですし、ライブに来れなかった人に見せるならともかく、ライブに来ている人たちにまだ終わっていない中ついさっきの映像を見せるのも変です。そして、映像のゲーム画面と実際のライブ映像をカットバックするという内容も「ほら、こんなに似せたよ!ほめて!」とでも言わんばかりです。ちなみに、仙台でこの「振り返り」映像を見たときから「最後の最後でそれまでの公演を全部振り返るなら分かるけど...」なんて思ってましたが、結局最後までその日のライブを振り返るだけでした。やっぱりよく分かんない。

その後に出てくる社長の「君たちのおかげで最高の番組になったよ!」みたいな台詞も、演出側が勝手に作った物語を無理矢理押し付けられているようで、正直不快でした。

それもこれも、作り手は良かれと思ってやってるのでしょうが、大体ライブには演者のパフォーマンスを観に行くのであって演出を見にいくのではないので、演出が何よりも前に出ている状態は本末転倒です。

これらの演出やコンセプトが仮に文句なく作り込まれたものだったとしても、それが素晴らしいものになったかは疑問ですし(作り込めば作り込むほど、それを滞りなくやることに囚われて「ライブ感」は減じる気がするので)、ましてSS3Aハッチポッチのような単発イベントではなく、結構な期間を擁する周年ツアーでやるようなことではなかったと思います。

その割に、この再放送的に地方公演を振り返る追加公演から、それをさらに振り返るディレイビューイング、極め付けにツアー全体を振り返る企画展示に至るまで、擦り切れるほど擦り倒すもんです、さながら振り返りの無間地獄です。この擦り具合から、バンナム側肝いりの企画だったのを想像して気が滅入ってしまいます。


……まあ、終わったライブのことを延々と振り返っていても仕方がないので、未来のことを考えましょう。

まずは何より今回発表された7thライブ。今回のライブは、文句含めなんだかんだ楽しみはしましたけど、次のライブでもまた同じようなことになるならちょっと考えるところだったのですが、初の野外ライブということで、これは素直に楽しみです。特に隣のデレが規模的に行くとこまで行って、この先どうすんの?って感じになってる中(もう東京ドームでも何でもやればいいと思ってますが)、また新たな切り口を見せてくれるのは嬉しいですし、野外となれば今回みたいなのが入り込むこともまあ無い(はず)で、あとは生バンドとかやってくれれば言うことはありません。移動手段が大変そうだとかはありますが、ともかく楽しみです。

あとは一部で期待されていたアニメ化ですが、これまでのアイマスアニメは時空を繋げて描いてきてしまっているので、ミリオンのアニメをやるとなれば、アニマス2であり、劇場版の続きであり、それでいてミリオンの一作目であり、その中で52人全員にある程度スポットを当てながら物語を紡がなければいけないというとんでもないハードルが課せられているため非常に難しいでしょう。やるとしてもぷち系のミニアニメか、本筋に関係ない外伝か(ヒーローズとか)、顔見世興行のお祭劇場版かでしょうが、どれもメインとなる1本が無いとやるのは大変そうです。むしろまっさらなシャニとかがするっとアニメ化しちゃいそうな気もします。

個人的には、このユニット地獄から抜け出せる新展開が欲しいですが、音ゲーアプリが中心にある限り無理だろうなあ。


そんな感じで未来についてもぼんやり考えたとこで、延々続いて来たツアーの振り返りも終わりにします。なんだかんだ楽しかったですよ。でも、もうこういうのはやめてね。


それでは。


消灯ですよ。