最近観た映画の感想

最近観た新作映画の感想です。

 

 

アントマン&ワスプ:クアントマニア』

MCU最新作にしてフェーズ5の一本目。量子世界を舞台に、身体の大きさを自由に変えられるヒーロー「アントマン」とその家族が活躍する。

別世界に行き、なんやかんやで世界を救い、元の世界に帰ってくるという王道のヒーローもので、所々雑なところもあるが安心して楽しめた。画面に映ってるだけで面白い顔だけ男モードックをはじめ、さまざまなびっくり生物が見れるのも嬉しい。

 

 

仕掛人・藤枝梅安(一)』

池波正太郎による「必殺」シリーズの元となった小説の最新映画化。江戸の鍼医者である藤枝梅安の裏家業は、生かしていては世のため人のためにならない人物を人知れず暗殺する仕掛人だった。

「女は怖いねえ」という台詞もあるように、登場人物は男女とも江戸時代なりの価値観なのだが、社会構造の歪さや、その中でとりわけ被害を受ける女性というところをしっかり描いているので、時代劇としての良さは残しつつ、今の視点からも見れる作品になっている。特にメインの悪役となる「おもん」は、演じる天海祐希の演技も素晴らしく「あの悪役にも悲しい過去が...」という定型を超えた深みがありとても良かった。さらに心に傷を持ち、社会から外れた梅安と彦次郎の、互いを思いやる男2人の関係も優しくとても良い。池波正太郎ならではの美味そうな飯描写も、有名な料亭を監修に入れるなど力が入っていて、観た帰りに湯豆腐の材料と普段飲まない日本酒を買ってしまった。次回作も4月に公開されるが、これ以降もこの座組みで無限に見たい。

 

 

『別れる決心』

パクチャヌク最新作。山で男性が転落死事件を捜査する刑事が、死んだ男の妻と出会い、疑いながらも惹かれていく。

大筋としてはよくあるラブロマンスだが、撮り方がいちいち変だったり、夢と現実の境が分からなかったりするのがとても面白い。それが単に奇をてらっているわけではなく、恋に落ちた2人の心情を的確に表現していている。恋愛というものの不条理感や、それによって「崩壊」していく様を主観的に描くことで、そのしょうもなさがかって際立っていて、謎の多い作品だがなんだか腑に落ちた。やはりこういうものは2人が永久にくっつかないほうが面白いというのも再確認した。

 

 

アラビアンナイト 三千年の願い』

「マッド・マックス」でお馴染みのジョージ・ミラー最新作。物語論の研究者がトルコのイスタンブールで美しいガラス瓶を手に入れる。瓶を開けると精霊が現れ、3つの願いを叶えると申し出るが......。

ちょうどコロナ禍真っ盛りで撮影されたようで、それもあってか作中のかなりの部分が部屋の会話で進むという、「マッド・マックス」のイメージからすると落ち着いた印象のある作品だった。人はなぜ「物語」を必要とするのかという、今まさに映画を観ている自分に刺さりすぎるメタ的な問いは非常に深く考えられていて、冷めることはなくむしろ強く胸を打つ。特に主人公である物語論の研究者アリシアは、ひとりぼっちで喪失を抱えており「社会的な幸福」からは外れた人物であるが、彼女自身は現状に満足しており「十分に幸せ」であることがまず語られるのがとても良い。誰かといっしょになることが必ずしも幸福には繋がらないというのは作中でも繰り返し描かれるが、それを否定するだけではなく、さらに先の自分だけの「物語」を紡いでいくラストは非常に優しく、しみじみと感動した。

 

 

新作映画ではこれからさらに『ベネデッタ』『フェイブルマンズ』『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』もあって、さらにドラマでは『マンダロリアン』S3もあるし、最近見始めた『刑事コロンボ』も面白いしでもう大変。

 

それでは今回はこの辺で。

消灯ですよ。