【映画】『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』感想

マーティン・スコセッシ監督最新作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』観ました。

1920年代のオクラホマ、石油資源を手に入れた先住民オセージ族は世界一裕福な民族と言われるまでになった一方、白人たちがその富を狙ってオクラホマへと集まっていた。本作はそんな時期に実際に起きたオセージ族の連続殺人事件を描く。出演はレオナルド・ディカプリオ、リリー・グラッドストーンロバート・デ・ニーロら。

 

 

前作『アイリッシュマン』に引き続き約3時間半の超大作で、観てる間も正直「長いな」と感じる瞬間はありました。しかし退屈だったかと言えばそんなことは全くなく、終盤にかけてどんどん引き込まれ、終わってしまえばあっという間という感覚でした。

 

物語はディカプリオ演じるアーネストがデニーロ演じる伯父のヘイルを頼ってオクラホマにやってくるところから始まります。そこでアーネストは莫大な財産を持つ先住民の女性・モリーと結婚することになるが、財産を狙うヘイルに言われるがままアーネストはモリーの親類を片っ端から始末していくというのが主な流れ。

 

極めて残忍かつ人種問題も大いに絡んでいる事件であり、これほどの出来事が近年まで注目されてこなかったことそれ自体も大きな問題です。

もちろん本作でも白人の搾取の酷さは十二分に伝わってくるのですが、それを糾弾することが主軸の作品ではないように感じました。

あくまでこのような社会の中でそれぞれの人間がどういう風に動いていくかということを、かなりフラットにシミュレーション的に描いているように見えました。その分観る人によってオセージ族に共感して義憤に駆られたり、アーネストに共感して我が身を振り返ったりなど、結構感じ方が違うのかなあと思います。

 

個人的には人間の愚かさというより、状況や環境に流される人間たちの一貫性の無さに強いリアリティを感じました。こういう状況になればこういうことは起こりうるだろうというのがよく分かり、それもまた残酷な現実に向き合う術のひとつじゃないかと思います。

 

 

それでは今回はこの辺で。

消灯ですよ。