シンデレラ5thツアーSSA二日目もどかし感想とつまみ食い総括

うーん、もどかしい!

今回の『THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 5thLIVE TOUR Serendipity Parade!!! さいたまスーパーアリーナ公演』二日目をLVで鑑賞しながらひたすらもどかしさに頭を抱えていました。これは主にセットリストについてなのですが、いちいち細かいことが気になって「これはどういう意図なんだ?」と終始困惑したまま公演が終わってしまいました。具体的にどこに困惑したか、どこがもどかしかったかをこれから順を追って話していきます。

まずことの経緯として、そもそも私は宮城の二日目に現地で参加した後は、いろいろあってその後の公演はLVでも参加しておらず、今回のSSAにも参加する気はあまりありませんでした。ただ宮城二日目について偉そうな感想を書いたり(ライブ終わってその日のうちに書いたのでいろいろ雑でした、スイマセン!)、シンデレラガールズ全体についてもごちゃごちゃと書いていたので、この5thツアーがどんな終着を迎えるかは気になっていました。そんな折、近くのLV会場に当日券があると知り、「最初と最後を観れば大体わかるだろう」と安易な気持ちで二日目の席を取ることになりました。

というわけででライブ本編です。

ちひろさんのアナウンス(見逃した)、アニメでの諸注意の後例の側のパフォーマンスを経て、『Shine!!!』でライブの幕が上がりました。宮城公演ではここでダイジェスト的に出演者が紹介されていて、「それはちょっと不親切じゃないか?」といった旨を前のブロマガでも書いていて、まあそれを踏まえたわけではないでしょうが、今回は曲が終わった後に早足ながらしっかりと自己紹介の時間が取られていたのは非常に良かったと思います。この自己紹介のおかげで31人も出演者がいる中、最後まで誰が誰だか混乱することなく鑑賞することができました。これはぜひ今後も続けていただきたいです(しかしこれ以上出演者が増えると難しいか……)。

そして最初のブロックは『熱血乙女A』と『SUPERLOVE☆』で会場を一気に盛り上げてきました。そして『青空リレーション』でちょっとゆったりさせてからシン劇曲に移っていくのもスムーズでとても良かったです。しかし『キラッ!満開スマイル』『SUN♡FLOWER』と来て、当然次は『エチュードは1曲だけ』が来るものと思っていると、そうはならずにMCパートに移ります。今回のライブはこのように「来るのか!?→来ない」または「来ないのか?→来る」みたいな肩透かしがその後も続き、どんどんもどかしさを高めてきます。曲単位では『キラッ!満開スマイル』の髙野によるヒゲダンスっぽい動きがツボでした。

次のブロックはトロッコ(a.k.a馬車)での『輝く世界の魔法』で始まり、その後もブロックごとにトロッコ(a.k.a馬車)が出動することになります。今回はセンターステージ等がないので当然の演出とも言えますが、それでも会場のお客さんとしては嬉しい演出でしょう。そして次はどの曲が来るのかと思っていると『エチュードは1曲だけ』が始まります。こんなすぐにやるんだったら前のブロックに入れりゃあいいだろう!と思いつつ、ここはクール系の曲が固まるように合わせたのかな?と思い直していたところに、次の曲が『cherry*merry*cherry』ですからさっぱり訳がわかりません。じゃあやっぱり最初のブロックにまとめればよかったじゃん!前後の曲でメンバー被ってるわけでもないし!では『cherry*merry*cherry』からまたソロパートが始まるのかと思えば、次は『つぼみ』ですから3度肩透かしをくらいます。曲単位での繋がりを見ればそれほど不自然でもありませんが、全体から見ればやっぱり不自然だよ!『つぼみ』自体は安野さんの膝立てスタイルや藍原さんの声がきれいに響いてたりなど素晴らしかったですが。このブロックは最後に『Love∞Destiny』で締めとなりますが、この後もなぜこのブロックに『cherry*merry*cherry』があったのかで頭を悩ませることになります。

3つ目のブロックはトロッコ(a.k.a馬車)に乗り、文字通りお客さんの側で歌う『Near to You』からスタート。次はオリメン(1人お休み)『Snow Wings』と続き、『To my darling…』『ラヴィアンローズ』とキュートソロが連続で披露されます。しかしそうなると前のブロックの『cherry*merry*cherry』がなぜここに続かないかが気になって『リトルリドル』どころではありません。前のパートはユニット曲でまとめて、このブロックはソロ有りってことにすれば綺麗なのに。うーん、謎。

4つ目のブロックは例のごとくトロッコでの『We're the friends!』からスタート。そして『One Life』から始まるロック曲連打は今回の白眉でしょう。宮城でも思いましたが千菅さんの会場を持っていく力は本当に素晴らしく、LVからでも一気に会場の空気が変わるのがわかりました。へごったトークとのギャップもいいですね。続く『PANDEMIC ALONE』も負けず劣らずパワフルでした。後ろの映像だけでなく本当に炎を出してもいいんじゃないかと思うくらいの熱さでした。この流れを汲める曲はそう多くないとは思いますが『Nocturne』は間違いなくそのうちの一つでしょう。東山さん、飯田さん、千菅さんという安定感抜群の3人で完全に会場をロックしていました。その後『銀のイルカと熱い風』『Treasure☆』と続きますが、正直ちょっと急な感じは否めませんでした。多分『Treasure☆』を入れる関係なんじゃないかと思いますが、後に出てくる『∀NSWER』『Jet to the Future』と続いていれば死ぬほど盛り上がったであろうことを思うとちょっと残念な気持ちもあります。まあそこは好みの範囲かもしれませんが。

これで前半が終了し、特別企画に移っていきます。

特別企画は「"DJぴにゃ"ことぴにゃこら太の選曲による“Serendipity Medley!!!"」ということで曲と歌い手をシャッフルした短いメドレーが続きます。音程ガン無視の豪快なヤンキー『Can't Stop!!』や、種崎さんを見つめるぴにゃを中心に捉えた謎カメラワーク(LVだけかも)での『エヴリデイドリーム』など楽しいところはいろいろあったのですが、炎陣やROCK THE BEATなど後に出てくるユニットをここでチョイ出ししてしまうのは正直うまくないなあと思ってしまいました。出演者を見てオリメンが揃っているユニット曲があれば、こちらは当然それを期待するわけで、中盤を超えて出てきていなければ期待感はますます高まります。そんな中のこのコーナで、ワンコーラスちょっとでオリメンのユニットが消化されてしまえば「え、これで終わり?」的な肩透かし感はどうしても抱いてしまうでしょう。その後出ないなら出ないで食い足りない感じもありますし、改めて出てきても満を持しての特別感は薄れてしまいます。これが逆なら「あのユニットでもう一曲聞けるんだ!」的お得感があって良いと思いますが、今回はユニットに関して言えばマイナスにしかなっていないように思えます。この企画はユニットよりむしろソロ曲がない人たちにスポットを当てるいい機会で、セトリを見る限り1日目はそういう面も多分にあったと思いますが、2日目に関しては長島さんが『おねだり Shall We~?』を歌ったくらいだったので、既存ユニットをやるくらいならそっちをメインにすればよかったのになあと思ってしまいました。

続いて最後のブロックは『∀NSWER』から始まるオリメンユニット曲連打になるのですが、先に述べた通り、「4つ目のブロックでやってればなあ」とか「前のブロックの企画で特別感が若干損なわれてんじゃないかなあ」などと思ってしまい、ひたすら「もったいないなあ」と思いながら見ていました。パフォーマンス自体はどのユニットも素晴らしくて、特に『Tulip』の髙野さんの小悪魔感にはえも言われぬ魅力がありました。

そして『夢色ハーモニー』を全員で歌い、一旦ライブは終了となります。軽いアンコールの後、ちひろさんから色々な発表があり、中でもデカイのが「6thドーム公演」でしょうが、それは一旦置いておきます。

アンコールは『EVERMORE』『M@GIC☆』と続き、出演者の挨拶に移ります。31人もいるとどうしても間延びしてしまうだろうと思っていたのですが、演者さん一人一人が個性的で楽しい挨拶をしていらっしゃったので、最後まで楽しく聞くことができました。トリの村中さんも敬礼!でビシッと締めていましたし。その後は毎度おなじみ『お願い!シンデレラ』でライブは終了しました。


SSA二日目全体としては、ここまで書いてきた通り「もどかしい」の一言に尽きるのですが、それはあくまで良くなる要素がたくさん詰まっていると思ったからこそで、決して悪いライブだったと言っているわけではありません。大勢のアイドルに膨大な楽曲がある中で、頑張ってまとめようとしていたとは思いますし、私が文句を言ったところにも、こちらにはわからない事情があったのかもしれません。ソロとユニットのバランスにも苦慮されたことでしょう。しかし、願わくばそのような忖度をしないで楽しめるライブであってほしいですし、今回それは不可能ではないと思わせてくれたので、とりあえず次のライブを待ちたいと思います。

5thツアーの最初(宮城)と最後(SSA)を見て、「Serendipity Parade!!!」とはなんだったのかを考えると、全員を主役に「しようとした」ツアーだったのだと思います。今までの、特にディレ1ありし頃のライブは、コース料理のように決まった流れがある中で、それぞれのアイドルを最も輝ける場所に置いていくような形だったと言えると思います。対して今回のツアーはオードブルのように一律にアイドルを配置して、それぞれ単体で味わってもらおうとした形なのだと思います。見かけ上は「公平」と言えますが、実際は「ライブ経験」や「ソロ曲の有無」でどうしたって差が生まれてしまいます。ですが、今回はそのあたりをカバーしようとした形跡はあまり見受けられませんでした。4thのSSA初日のようにカバーしようとしすぎて演出の印象ばかり残る危険もありますが、多少は下駄を履かせることも必要だと思います。その意味ではSSAでのメドレーコーナーが近い役割を果たしていたとは思いますが、やはり短すぎて食い足らないところが多く、特にソロ曲ない組のソロはもっと見せても良かったんじゃないでしょうか。「主役」感を演出するにはどうしたってソロは重要で、特にシンデレラではその割合が大きいと思います。それからオードブル化の弊害として、ライブ全体としての筋の弱さがありました。別に筋がないわけではなく、「奇跡」や「偶然性」をもってライブの筋にしようとしたのでしょうが(ゆえのセレンディピティ)、さすがに筋としてはぼんやりしすぎていたと思います。

少し話は戻りますが、シンデレラガールズのソロにまつわる問題はライブに限ったことではなく、全体に言えることだと思います。はじめは声付きのアイドル自体少なく、それぞれに与えられる時間も十分ありましたが、声付きのアイドルが増えた現在、叶う夢が増える一方、各アイドルに与えられる時間は減っていきます。そこでより多くのアイドルにスポットが当たるよう考えられた苦肉の策が「ユニット」な訳ですが、基本的にシンデレラはソロありきで作られているので、露出は増えてもアイドル個人のドラマには必ずしも還元されません。要するにシンデレラガールズが拡大すればするほどアイドル一人一人に対する濃度は薄まってしまうのです。そういったジレンマを今回のライブでも少なからず感じましたし、それは次回のドーム公演あたりで臨界点を迎えるのではと思っています。

ドーム公演についてですが、「アリーナツアー成功したし次はドームでしょ」くらいの事務的な印象しか受けませんでした。「ドームですよ、ドーム」及び10周年を迎えての西武ドームや、Thank You!からの武道館のようにシンデレラは会場に対する物語が特にないので仕方がないですが、それでも予めアニメやゲームでドームにまつわる物語を描いたり、それこそ今回のツアーはドームへの布石でした!という物語を描くことだってできたはずです。

このドーム公演がただのインフレの極致なのか、またはドームという目標ができたことで描くとなる物語が浮かび上がるのか、今の時点ではわかりませんが、なんにせよシンデレラガールズにとって良い方へと向かうことを祈っています。とかそれっぽいことを言って締めたいと思います。さようなら!



【おわり】