M・ナイト・シャマラン最新作『トラップ』観ました。
人気アーティストのライブに大ファンの娘とともに訪れた父親・クーパー。仲睦まじい親子に見えるふたりだが、なぜか大量の警官が配置されている会場に父親の様子がおかしくなっていく……。という話。
本作はシャマランの新作ということ以外、全く情報を入れずに観に行ったのですが、大正解でした。
序盤で描かれるクーパーの姿は、ちょっとお堅いところがありながらも楽しく優しい「良い父親」で、会場に配備されている大量の警官に注意を払う様子も不審には思いませんでした。なので彼がサイコキラーで、警察の狙いが彼自身という展開には普通に驚いてしまいました。
そして本作で面白かったのは、その「良い父親」としての側面と「サイコキラー」としての側面が矛盾せず同居しているというキャラクター造形。これによって典型的な「サイコキラー」にはない深みが出ていたと思います。演じるジョシュ・ハートネットの演技も良くて、異常さだけでなく絶妙な間抜けさもでていて、サイコキラーである彼にも感情移入してハラハラすることができました。
とはいえ警察の「罠」もクーパーの策略も大概ガバガバで、「高度な頭脳戦」とは言い難い展開なのですが、そのゆるさもクーパーの憎めなさに繋がっている気がします。
しかし本作いちばんのサプライズは、人気アーティスト・レイヴン役が シャマラン監督の長女サレカ・シャマランだったこと。
スタッフ役のシャマラン本人がニコニコで「彼女僕のいとこなんだよ」と言っていて、実際顔もちょっと似ているなあと思ったり、やたらステージをじっくり映していて「何の映画なんだ……?」と思ったりもしましたが、このことを鑑賞後に知って全てが腑に落ちました。ただの親バカか!
しかし単なる親バカ映画ではなく、クーパーが子煩悩であるという設定も、最終的にクーパーが女性たちに追い詰められていくという展開も、娘と映画を作っていることがしっかり活かされた作品になっていたと思います。親子で映画を撮るにあたって、父親がサイコキラーという話にするのもなかなかですが。
というわけで、レイヴンが監督の娘と知ってから観ると、また印象が変わってくるのだろうと思います。そしてシャマランの次女イシャナ・シャマランも『ザ・ウォッチャーズ』という映画でこの前監督デビューしていたなあなどということも思い出し、そちらも観たくなりました。シャマラン一家の活躍から目が離せない!
それでは今回はこの辺で。
消灯ですよ。