『シビル・ウォー アメリカ最後の日』観ました。
連邦政府から19の州が離脱し、テキサスとカリフォルニアの同盟からなる西武勢力と政府軍による内戦が勃発するアメリカで、3人のジャーナリストと1人の見習いが14ヶ月も取材を受けていない大統領にインタビューするためホワイトハウスへ向かうが…‥という話。
主人公たちは行く先々で内戦状態のアメリカを象徴する出来事に出会うという、非常に寓話的な構成になっているのですが、どのエピソードもリアリティがすごい。
優位な立場を得て暴君のように振る舞うガソリンスタンド店員、相手が何者かも分からず戦い続ける兵士、戦争を見てみぬふりをする「平和」な街など、どれも現代社会の延長にあるものであり、実際に起こりうる、何なら既に起こっていることばかりに思えます。
そして一番印象に残る場面はやはりジェシー・プレモンスのあの場面。
ストレートに人種差別と虐殺が描かれる場面ですが、日本ではなかなか感じられない、アジア人として強い実感を伴う恐怖を感じました。
それに加えて個人が簡単に銃を所有できるアメリカだからこそ、個人でもあれほど虐殺が可能になるという、銃社会の恐ろしさも表現されていたと思います。
また、主人公の戦場カメラマンという立場も作品にリアリティを与えていました。
映像の中で時折写真が挟み込まれることによって、「この瞬間は現実である」という印象が強くありました。実際本作における映像も写真も作り物であることに変わりはないのですが、写真というものの持つ説得力を実感しました。
終盤の流れが若干の唐突な印象もありましたが、大統領の死体と笑顔で写る兵士たちの写真には、「歴史的勝利」の場面でありつつ、とても正義とは言えないような野蛮さで、この作品を締めるにふさわしい、絶妙なバランスのラストだったと思います。
それでは今回はこの辺で。
消灯ですよ。