2024年にリリースされたアイマス学曲の個人的ベスト20です。
毎年挙げるのはベスト10までだったのですが、今年リリースされた『学園アイドルマスター』の楽曲が大量かつクオリティも軒並み高く、10曲だと他ブランドにも良い曲がある中ほぼ学マスで埋まってしまうので、今年は20曲でいきます、いくぞ!
目次
20位〜11位
20. 『無垢』
歌:鈴木羽那
作詞:園田健太郎 作曲・編曲:ねりきり (KEYTONE)
作編曲はコメティックの『 平行線の美学』も担当したボカロPのねりきり氏。コメティックらしい今どきのボカロ風楽曲ですが、この曲が面白いのはそこに乗る園田健太郎氏の歌詞。ボカロ曲といえば厭世的で皮肉な歌詞が多いイメージで、少なくともコメティックのユニット曲はまさにそのような路線を打ち出した歌詞になっています。しかしこの『無垢』の歌詞は、ひたすらに楽観的で前向きで一点の曇りも無い。曲のイメージに全く一致しない歌詞の内容は、一種の批評性も感じさせて非常に面白かった。
19. 『DYNAMITE FEVER MEGAMIX』
歌:片桐早苗
作詞・作曲・編曲: 橘亮祐
片桐早苗ソロ3曲目。タイトルに偽りなくちゃんといろんな曲を繋いだ「MEGAMIX」な曲になっていて、こんなことがあるのかと笑いました。
18. 『STAY TUNED ORBIT』
歌:Jupiter
昨年の天道輝『Beginning Tomorrow』のような、SideMの現状を踏まえた決意表明のような楽曲。「何度だって超えてきたクライシス」など、Jupiterだからこその言葉たちが熱い。
17. 『ホムラインビテーション』
歌:芹沢あさひ、黛 冬優子、和泉愛依、七草にちか、緋田美琴
作詞・作曲・編曲:涼木シンジ(KEYTONE)
「日清炎メシ(ホムラメシ)」とのコラボ楽曲。ハードな曲調と今どきのフロウに乗せて歌われる歌詞が、一から十まで「炎メシ」の説明しかしていなくて最高。企業や製品とのコラボ楽曲といったら、『スパイスパラダイス 』のようにショートバージョンでは商品を前面に押し出してして、フルでは関連性を薄めて単独で成り立つ楽曲にするするかになるでしょうが、この曲は純粋な商品の説明だけでフル尺をやり切っていてすごい。
16.『Upper Dog』
作詞・作曲:鈴木裕明 編曲:KOH
アイマスでは多分初?のインド風EDM。MVのダンスも格好良くてライブでの披露も楽しみ。ちなみに作編曲の鈴木裕明氏は『HELLO, YOUR ANGEL♪』以来の楽曲提供。振り幅よ。
15.『7Days A Week!!』
歌:765 MILLION ALLSTARS
作詞:辻純更 作曲・編曲:塩原大貴
ミリシタ7周年記念楽曲。ミリオンとしては11周年目に突入したわけですが、これからも変わらず進んで行くぞ!という意思が感じられる曲でよかった。タイトルにはじまり、「7」にまつわる慣用句を散りばめた歌詞も気が利いていて良い。また「ららら〜」と歌うパートは個人的に「言葉入れてくれよ」と思うことが多いのですが、この曲のそれはハモりが入ってくるなど、ミリオンならではの人数感と一体感が出ていて結構好き。
14.『ジュビリー』
歌:星街すいせい、高垣楓
作詞・作曲・編曲:TAKU INOUE
VTuberとのコラボ楽曲という思い切った施策ですが、これまでも散々アーティストとのコラボをやって話題を作ってきたシンデレラなので違和感はない。アイマス側も星街すいせい側も勝手知ったるTAKU INOUEプロデュースで、そこに連れてくるのが高垣楓とくれば、それはいいに決まっている。
13. 『小さな野望』
歌:十王星南
作詞:小室みつ子 作曲・編曲:椎名豪
作詞の小室みつ子氏は『Get Wild』などTM NETWORKの歌詞を提供してきたベテラン。作曲はお馴染み椎名豪氏で、いつも通り壮大な一方テンポが早く、また新たな境地に感じられました。椎名氏の曲はよく「ラスボス」と称されることが多いですが、今回はまさにゲームのラスボス戦のBGMのようで、それこそ『鉄拳』のBGMにしても違和感が無いでしょう。冒頭〜1番終わりまでは「バトル開始から追い詰めるまで」、最初の間奏は「カットシーン/第2形態に変身」、2番で「再びバトル開始」、続く間奏で「クライマックス/トドメ」、ラスサビ以降は「撃破〜エンディング」と思って聴くと面白い。そしてこの壮大な曲に乗る歌詞が、ひとりのごく私的な内面を歌う「小さな野望」というのもひねりが効いていて良い。
また星南会長の楽曲では『Cosmetic』が、カバーやKRの楽曲を除けば初の全編英語詞になっており、このような形で今後も世界を見据えた楽曲が出てくるか注目したいところ。
12.『Fluorite』
歌:有村麻央
作詞:やぎぬまかな 作曲・編曲:Moe Shop
学マスは麻央でゲームを始めようと思っていたので、ちゃんと曲が良くて一安心でした。曲調としては『Kosoms,Cosmos』に近いものがあり、当然嫌いなわけがないのですが、まんまとハマってるようで複雑なところもあります。それはそれとしてこの曲は雪歩が歌ってもヤバそうなので、いつかどこかで聴けたら......(まあ765でやるとしたらまずは真になるんでしょうが)。
11.『BRIGHTEST AWAKING』
歌:Jupiter
作詞:マイクスギヤマ 作曲・編曲:中土智博
今どきの王道男性アイドル曲という印象(よく知らないからあくまで印象)ですが、音やメロディーや構成がちょうどよく噛み合っていて、シンプルにかっこいいと思いました。歌詞も「キミが望めば広がる世界」「誰よりもキミはキミらしく」など、SideMはそんな曲が多いですが、聴いてる人の背中を押すような内容でとても良い。
10位〜1位
10.『ミラクルナナウ (゚∀゚) ! (葛城リーリヤ・倉本千奈・姫崎莉波 ver.) 』
歌:葛城リーリヤ・倉本千奈・姫崎莉波
作詞・作曲・編曲:YUC'e
学マスのライブツアーに合わせて発表された楽曲で、公演ごとにメンツの違う3バージョンがありますが、個人的にはこの「葛城リーリヤ・倉本千奈・姫崎莉波 ver.」の高温でまとまった歌声が一番曲に合ってる気がします。可愛さ100%で無限に聴ける。
これは推測ですが、同じくライブに合わせて発表された他の曲も全体曲扱いではありつつ、『がむしゃらに行こう! 』は「花海咲季・月村手毬・藤田ことね ver.)」、『Howling_over_the_World』は「有村麻央・紫雲清夏・篠澤広ver.」、そして『ミラクルナナウ (゚∀゚) ! 』は「葛城リーリヤ・倉本千奈・姫崎莉波 ver.」を念頭に作られているんじゃないかと思います(これらの組み合わせが一番ハマりがいい)。
また作詞作曲編曲のYUC'eはミリオンの「LIVE THE@TER HARMONY」のリミックス盤以来の参加で、オリジナル楽曲提供は初。他にもミリオンのリミックス盤に参加していた方が学マスで曲を書いてたりして、もちろん電音部からの流れも大きいでしょうし時系列も分かりませんが(学マスは開発期間が長いので)、あのリミックス盤が学マス曲に繋がってると考えるとまた味わいが増すかも。
9.『ともすれば、(中略)アイドル』
歌:灯里愛夏
作詞:七条レタス 作曲・編曲:D.Watt
作詞作曲を務めるのは電波ソングでおなじみの音楽制作チーム「IOSYS」所属のD.Watt(作詞も別名義なだけで同一人物)。アイマスでは今年イブ・サンタクロース『あの子が街に来なサンタ』も制作。今年めでたく876プロからデビューの決まったアイマスのVTuberプロジェクト『vα-liv』の灯里愛夏デビュー曲。一度聴いたら耳から離れないまさに「電波ソング」で、歌詞の内容は内輪ネタてんこ盛り。しかしそもそもアイマスで「内輪ネタ」が入る曲なんてラジオのテーマソングぐらいなもので、これがデビュー曲として出てくるのはやはりVTuberならではで面白いと思います。
そして全体としては彼女の掛け声である「やっぴー(やったるぜ+ハッピー)」に象徴されるように、ネタがわからなくてもしっかり前向きで元気が出る内容になっているのも良い(個人的には「それでいいんか灯里愛夏!から始まる口上が急に博多弁になるのも含めてかなり好き)。そして言葉の置き方も聴いていて心地がいいように、実は丁寧に組まれていると思います。またVTuberならではと言えば歌唱についてもそうで、ひょろひょろした裏声とか限界まで張り上げた大声とか、「声優さんが歌うキャラクターソング」として成立させることが難しい崩れた表現ができるのも、「歌い手=本人」であるVTuberだからこそでしょう。
同じ『vα-liv』の上水流宇宙『公転周期』も、レトラ『群青イニシエーション』も気合が入っていていい曲だったので、今後の音楽展開も期待できそう。
8.『Feel Jewel Dream』
歌:有村麻央
作詞・作曲・編曲:DÉ DÉ MOUSE
作詞作曲編曲のDÉ DÉ MOUSEはミリオンの「LIVE THE@TER PERFORMANCE」リミックス盤からのオリジナル楽曲初提供。とにかく聴いていて気持ちがいいし、展開もかっこいいし、無限に聴いていたい。最高!
7.『Wake Up!』
歌:葛城リーリヤ
作詞・作曲:田中透真(Dream Monster) 編曲:アッシュ井上(Dream Monster)・田中透真(Dream Monster)
作詞作曲の田中透真氏は月村手毬『叶えたい、ことばかり』も手がけていますが、現状に対する苛立ちを、前向きかつ韻を絡めたキャッチーなフレーズに落とし込んだ歌詞が心地いい。特にこの『Wake Up!』は、リーリヤの情感溢れる歌もピッタリあってますし、普段丁寧なリーリヤが「こんなところでさ」「成長すんです」とちょっと乱暴な言葉で歌うギャップもいい。田中透真氏は現状アイマス外含めこの2曲以外提供曲がほぼ無い方ということで、この先の活躍が楽しみ。
6.『モラトリアム』
歌:夢見りあむ・双葉杏
作詞・作曲・編曲 中村さんそ
浮遊感のあるサウンドにウィスパーな歌声なんて最高に決まっている。歌詞はタイトル通り憂鬱と諦観に満ちていて、ものすごく今っぽいと思いました。それでいて全体の印象はジメジメしておらずむしろ前向きで、このバランスが絶妙でとても良かった。これのGAME VERSIONは結構展開がカットされているので、M@STER VERSIONを買って聞くのがオススメ。この曲が気に入った人は、作詞作曲編曲の中村さんそ個人名義の曲を聴くと幸せになれます。
5.『GOTCHA』
歌:芹沢あさひ、八宮めぐる、西城樹里
ゲーム内イベント「シャイニーPRオファー」Vol.3『ストリート系ファッションブランドからのオファー』をテーマにして「RIP SLYME」が手がけた楽曲。曲はもうRIP SLYME!という感じでもちろん楽しく気持ちいい。ラップ曲はアイマスでも過去にたくさんあって、MC TCの登場からどんどん良くなってますし、韻に関してはかなり自然なものも増えてきましたが、今回フロウ(歌い回し)の引き出しの多さにはプロのレベルの違いを感じました。そしてそれをバッチリ歌いこなしている3人もすごい。ラップ曲としては間違いなくこれまでのアイマス曲の中でベスト。
4.『光景』
歌:篠澤 広
作・作曲・編曲:長谷川白紙
なんと言っても長谷川白紙。唯一無二。ポップでありながらも長谷川白紙味もしっかり感じられて素晴らしい。ブラジル音楽の偉い人、アルトゥール・ヴェロカイ氏がストリングとホーンのアレンジを担当しているというのも驚き(知ったのはこれがきっかけでしたが)。また曲作ってくれ〜。
3.『Campus mode!!』
歌:初星学園
作詞・作曲:田淵智也 編曲:滝澤俊輔(TRYTONELABO)
この曲については以下の記事で散々書いているので簡単に。特に好きなフレーズが「道を刻んだ偉大な歴史 忘れずリスペクトだ」。これが単なる言葉だけではなく、学マスの展開そのものに原点回帰的な765リスペクトを感じさせる(765プロに言及するだけでなく、コミカライズで765プロ登場、また最近のソロ中心のプロデュース→ライバルとして961登場の流れは無印アイマス→SPの流れを彷彿とさせる)のが何より素晴らしい。ゲーム内で流れるタイミングも合わせて、自分にとっても特別な一曲になった。
2.『FlaME』
歌:星井 美希、四条 貴音、我那覇 響
作詞:烏屋茶房 作曲・編曲:橘亮祐
8月24日・25日にロームシアター京都で開催された「961 PRODUCTION presents 『Re:FLAME』」の会場限定CD収録の新曲。Kポップ的な楽曲はアイマスでもかなり増えましたが、ここまで自然にキャラクターに落とし込めているのはやはり765の年季があればこそだと思います。3人のソロミックスもそれぞれの色が濃く出ていて、特に 『 Criminally Dinner ~正餐とイーヴルナイフ~』のときからそうでしたが、美希がトラップ風のラップがやたら上手いのがツボでした。美希がフルでラップを披露する曲も聴きたい。
ライブのダンスもかなり気合が入っていて、今のトレンドど真ん中の歌とダンスを16年前のユニットであるプロジェクト・フェアリーが完璧に我が物としている姿には熱いものがありました。
1.『Halftone』
歌:菊地 真、萩原 雪歩
作詞:ミズノゲンキ 作曲・編曲:馬渕直純
3月16日、17日に開催された『菊地 真 ・ 萩原 雪歩 twin live “ はんげつであえたら ”』の会場限定CD収録の新曲。これは出た瞬間に1位が決まってしまったので仕方がない。このライブが開催されて、新曲が制作されたことそれ自体に感謝。もちろん楽曲としても良くて、ゆきまこ曲としては意外な疾走感溢れるバンドサウンドに英語詞で始まるのも面白い。この限定CDに収録されている既存曲のゆきまこアレンジも全て最高。群馬まで出向いて目の前でCDが売り切れたときは絶望したので、事後通販があって本当に良かった。
まとめ
今年は学マスがとにかく良曲揃いで今後も勢いは続きそうですが、他ブランドで言えばアニメも放送されたシャニもなかなか良い曲が多かったです。シンデレラはいつも通り安定したクオリティで、SideMもたくさん曲を出していて勢い変わらずといった感じでした。
ミリオンに関しては10周年を終えて、ゲームでもアニメ曲やコミカライズ曲など既存曲のイベントが多く、正直新曲の印象はそこまででした。11thの延期もありましたし、来年は盛り上がってほしいところです。
トップ2のAS曲は限定にするのは勿体無いクオリティでしたし、プロデューサーの伊香賀さんはMA4に引き続き信頼できる。来年は20周年だしもっと大きなCD展開やってくれ〜。
というわけで2024年のアイマス曲ベストでした。良曲いっぱいで嬉しい悲鳴。重ね重ね来年は20周年なのでブランドを横断した楽曲とか出てきたら面白そう。
それでは今回はこの辺で。
消灯ですよ。