「2023年、アイドルマスターはアニメに本気!」ということで、『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』は2023年4月5日からテレビ放送、『アイドルマスター ミリオンライブ!』は2023年8月18日から劇場先行上映・10月にテレビ放送、『アイドルマスター シャイニーカラーズ』は2023年10月27日から劇場先行上映・2024年春にテレビ放送が開始と、向こう1年間絶え間なくアニメ作品が予定されています。
こんなにアニメ化が続いてめでたい!と思う一方、あまりに連発されるので「アニメ化ってそんなに嬉しいことだっけ?」という天邪鬼な考えも浮かんできてしまいました。
「アニメ化!」という発表が嬉しいのは、身もふたもないことを言えば「自分が推してる作品の人気が認められた!」という証明になるという点が大きいと思います。漫画やゲームなどをアニメ化する際、基本的には元のストーリーをなぞるだけで新たな展開はありません。それでも嬉しく感じるのは、アニメならではの表現を楽しめるというのもありますが、それよりもマスに向けたメディアで多くの人と好きな作品で盛り上がれるという面が重要でしょう。今はアニメが飽和状態かつ地上波のプライオリティが下がっているところもありますが、それでもやはり作品にとってのひとつのゴールと言えると思います。
そんな中でアイマスのアニメについてですが、まず先駆けたのが2007年の『アイドルマスター XENOGLOSSIA』です。この作品はキャラクターのビジュアルと名前だけを借りたロボットもので、キャストも総取り替えという、人気が認められたというより名前だけ借りたような、ファン的には嬉しいと言えるアニメ化ではありませんでした。現在では再評価の機運もあり、実際面白い作品ではありますが、お仕事ロボットものから男をロボットに変えたドロドロ昼メロを通ってセカイ系に着地するという、かなりヘンテコな作品であることは確かです。ただ、春香のキャラクター造形なんかは後のアニメと通じるものがあったりもして、「アイマスのアニメ」として見どころがあるところもあります。
次にアニメ化されたのがXbox360用ソフト『THE IDOL M@STER LIVE FOR YOU!』に収録されたOVAです。「やるしかなかったんだ!」でおなじみの本作ですが、キャストもオリジナルで世界観もそのままとはいえ、あくまでファン向けの作品で人気が認められたとかではないため、嬉しさはそこまででした。
これらの正直そこまで嬉しくはないアニメを経ていたからこそ、2011年に制作されたTVアニメ『THE IDOLM@STER』は嬉しさもひとしおだったわけです。アイマスを知らない人も楽しめて、知ってる人も大満足という、理想のアニメ化だったと言えるでしょう。
続いて初の漫画原作アニメ化として2013年の『ぷちます!-プチ・アイドルマスター』があります。これはショートアニメということで、嬉しさで言えばそれなりな感じもありますが月〜金のほぼ毎日更新という面白さもありました。
2014年1月の『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』は、作品の出来としても申し分なく、TVアニメ化の先の嬉しさとして映画化というのは最終到達点といったところでしょう。同年4月には『ぷちます!!-プチ・アイドルマスター』も配信され、作品としてひとつのピークを迎えたと言って差し支えないでしょう。
次にアニメ化するのが2015年の『アイドルマスター シンデレラガールズ』です。これもかなりの嬉しさで、その後のゲーム『スターライトステージ』への導線も上手くいって、一気にピークを迎えた感があります。その後も高止まりしたまま「ぷちます!」の流れをなぞって『シンデレラガールズ劇場』が制作され5期まで放送されました。ここで改めてとても嬉しいTVアニメ化→そこそこ嬉しいショートアニメ化で熱量をつなぐという、アイマスのアニメの流れが確立された感じがあります。
次にアニメ化するのが「歩幅の違う」ミリオンライブ!を飛ばして2017年の『アイドルマスター sideM』です。それから順当にショートアニメ『アイドルマスター sideM 理由あってMini!』が放送されて嬉しいわけですが、さすがにマンネリ感も出てきた感じは否めません。
というわけで最新の嬉しいアニメ化3連発となるわけですが、まず1発目の『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』は、これはコミカライズのアニメ化ということで、本来『ぷちます!』のラインとなるわけで嬉しさもそこそこかと思いきや、ガッツリしたアニメ化ということで、どの程度のテンションになるかは未知数です。
2発目の『アイドルマスター ミリオンライブ!』は初の3DCGアニメということで、新しい試みとは言えますが、発表からだいぶ難産だったり、それまでのアニメは手描きアニメでゲームと(あとはラブライブ!とかと)差別化していた中でCGでどう味を出していくかなど、これまた未知数なところがあります。劇場先行公開というのもこれまた未知数。
3発目の『アイドルマスター シャイニーカラーズ』はミリオン同様3DCGがどうなるかというのはありますが、基本的に3DCGのステージが無いタイトルなので新鮮味は出しやすそう。なんにせよ元々ストーリーが主軸な作品なので割と手堅くいきそうな感じはします。アイマスではそれまでショートアニメ専門家だったまんきゅう氏がどう監督するのかも見どころ。
この3本の中で『U149』は原作があり、『シャイニーカラーズ』は力の入ったストーリーがありで、なんだかんだ手堅くまとまりそうなところです。唯一『ミリオンライブ!』はなかなか想像ができず、良くも悪くもどちらにも転びうるという意味では1番楽しみな感じがします。
とはいえどれも「新人アイドルがプロデューサーと出会い様々な葛藤を乗り越えながら成長する」というストーリーを大きく外れることは無いでしょうし、その中でどう面白味を出していくかは気になるところです。唯一『アイドルマスター sideM』までの同一世界観でやってる感じがなくなりそうなのはまだ期待できるところで、もはやノルマと化した例の合宿場とかもういいでしょとか思いますし。
ただ、それぞれのブランドでアプリを中心とした本筋がある中、あまり決定的に世界観を変えるようなことも起こらないということを考えると、個人的にはどれもそんなに嬉しさを感じてない面も正直あります。それよりもアニメで新規層を引き入れたその先にある何か新しい試みにこそ期待したいです。
そもそもアイマスは極めて個人的な「プロデュース」をベースとする草の根的な横のつながり感、言ってしまえば「内輪感」こそが楽しい作品だった中で、こういうマス向けの展開は本来嬉しいものなのか?という事も最近思ったりします。しかもそっちはラブライブ!なんかがブイブイいわせてるわけですし。
なので、個人的にはアニメとかよりも、令和のアケマスをはじめとした新作ゲーム、最近積極的にやってる街コラボやMR展開など、アイマスならではの面白い展開が今後観れるといいなあと思います。
それではこの辺で。
消灯ですよ。